Office 2008 for Macでは、Windows版に先駆けた新機能 / Windowsにはない機能が投入されている。これはMicrosoftのMac製品開発チーム「Mac BU」が掲げる開発コンセプト「Mac First, Mac Only」の現れで、Office 98以来踏襲されている。図形オブジェクトとしてQuickTimeムービーの利用を可能にしたり(Office 98)、Mac OS Xネイティブ対応したり(Office v.X)、バージョンアップのつどMacらしいイノベーションが実現されている。
今回の「Mac First」な機能の1つが、Word 2008に導入されたDTPレイアウトの概念。新たに用意された編集モード「デザインレイアウト」は、図やテキストボックスの自由な配置を可能にすることで、これまでWordで作成されるべき文書がPowerPointやExcelで作成されていた"ねじれ現象"を解決する。
Mac OS X 10.4(Tiger)で登場したアプリケーション自動化ツール「Automator」への対応は、Mac Onlyな機能だ。Office for Mac 2008本体とともにインストールされる90種超のアクションを利用すれば、単語の検索 / 置換やファイルフォーマットの変換、文書の一括印刷やPDF出力など、実務に役立つ自動化アプリケーションが簡単に作成できる。
メールクライアントEntourageと連携して動作する小型アプリ「MyDay」も、Mac FirstにしてMac Onlyな機能の1つだ。Entourageが保有するスケジュールやToDo情報をポップアップ表示する機能がメインだが、ToDoの新規作成やEntourageの起動にも利用できる。[Control]+[M]キーを押せばサッと現れる機動性の高さも、利点の1つだ。
ところで、ファイルを開かず内容を閲覧するLeopardの新機能「クイックルック」(Quick Look)は、Word / Excel文書に対応しているが、Microsoftは開発に直接関与していない。しかし、AppleはiWork '08に含まれるプレゼンテーションツール「Keynote ’08」を優先したいためか、PowerPoint文書用のクイックルックプラグインは提供されないままだ。Microsoftでは、Office 2008 for Macの発売から早い時期にPowerPoint用プラグインを提供するとのことなので、実現されればそれもまたMac Onlyな機能といえる。