Office 2008 for Macで作成した文書は、Open XML File Format Converter for Macを利用しても、従来バージョンのOffice(以下、旧Office)では、完全な形では開けない。

たとえば、SmartArtグラフィックを含む文書を旧Officeのファイルフォーマット(.doc、.xls、.ppt)で保存すると、以降内容の編集やレイアウトの変更ができなくなる。SmartArtグラフィックが一般的な図に変換され、SmartArtとしての属性が失われてしまうためだ。

条件付きで属性が保持されるケースもある。Excel 2008の文書に含まれる図形オブジェクトに表6で挙げた表示効果を適用している場合、旧Officeのファイルフォーマットで保存しても、その情報は保持される (Excel 2008で再編集が可能)。ただし、旧Officeで開いてもその表示効果が画面に反映されないうえ、一度編集を加えるとExcel 2008で加えた表示効果の設定は失われてしまう(Excel 2008で再編集は不可)。

表6: Office 2008 for Macの主要な新機能と互換性

新機能 互換性
SmartArt 旧Office用ファイルフォーマットで保存するか、Open XML File Format Converter for Macを利用する。ただし、図に変換されるため、内容の編集やレイアウトの変更はできない
図形の効果(Excel) 光彩 / ぼかし / 内側の影 / 反射 / 線 (グラデーション) / 3-D 回転 / 面取り / 輪郭 / 奥行きが設定されている場合は、以前のバージョンのExcelでは表示されない
影の効果 以前のバージョンのOfficeで開くと、影は濃い塗りつぶしで表示される
文字列の効果 Word 2008以前は合字を表示できない

以上をふまえると、Office 2008 for Macで作成する文書は標準ファイルフォーマット(OOXML)で保存しておくことがベストだ。旧Officeユーザへ渡す必要が生じたときには、旧Officeのフォーマットに変換するか、相手側にOpen XML File Format Converter for Macで変換してもらえばいいことになる。ただし、旧Office側との共同作業が必要な場合には、後述する「互換性チェック機能」で確認しながら、Office 2008 for Mac独自機能の使用を考えるほうがいいだろう。