MacintoshシリーズのIntelアーキテクチャへの移行が発表されたのは、2005年6月のWWDC。MicrosoftのMac製品開発チーム「Mac BU」は、即座にAppleの路線転換へのコミットを表明、すなわちMac版OfficeのIntel対応バージョンの提供を約束していた。それから2年半、PowerPC / Intel両アーキテクチャにネイティブ対応したOfficeとしてリリースされたのが、1月16日発売の新製品「Microsoft Office 2008 for Mac」だ。
ユニバーサルアプリケーション化による最大の恩恵は、Intel Macにおけるパフォーマンスの向上。旧バージョンのOffice 2004 for Macは、Mac OS X 10.4(Tiger) 以降に搭載されているバイナリトランスレーション技術「Rosetta」を利用しなければならなかったため、Intel Macでは本来の処理性能を発揮できなかったが、今後はPowerPC / Intelどちらのハードウェアでもネイティブの速度で動作する。
ユニバーサルアプリケーションとなり、PowerPC / Intel両アーキテクチャでネイティブに動作するようになった |
アイコンもLeopardで推奨されている512×512ピクセルのタイプに変更された |
ただし機能がリッチになったぶん要求されるスペックは高くなり、サポートされる環境はMac OS X 10.4.9 (Tiger) 以降 / PowerPC G4 500MHz以上、すなわちPowerMac G3 (Beige) などのOld World Macは非対応となった。メモリは512MB以上、HDDの空き容量も1.5GB以上となったほか、記録メディアがCD-ROMからDVD-ROMに変更されたため、DVD-ROMドライブがなければインストールはできない(表1)。
表1: 新旧Office for Macの動作スペック
Office 2004 for Mac | Office 2008 for Mac | |
---|---|---|
システム | Mac OS X 10.2.8以降 | Mac OS X 10.4.9以降 |
コンピュータ本体 | Power Mac G3 / G4 / G5、iMac、PowerBook G3 / G4、iBook | Intel、PowerPC G5または500 MHz以上のPowerPC G4プロセッサを搭載したMacintosh |
メモリ | 256MB以上 | 512MB以上 |
HDDの空き容量 | 840MB以上 | 1.5GB以上 |
ディスプレイ | 1,024×768ピクセル / 3万2千色以上 | |
光学ドライブ | CD-ROMドライブ | DVD-ROMドライブ |
以下、本稿ではオフィススイート「Microsoft Office 2008 for Mac」について、その新機能と利用方法を解説する。ユニバーサルバイナリ化、話題のUI「エレメンツギャラリー」、グラフィックエンジン「Office Art」、メイリオフォントやAutomatorアクションなど、高機能化だけではなく、利用する上での快適さ、生産性の向上で大きく進化している点にも着目してほしい。
Part 1 「Microsoft Office for Mac 2008」の新機能
・ついにユニバーサルアプリケーション化
・基本性能の向上
・Intel Macでパフォーマンスが向上
・新しいUI「エレメンツギャラリー」
・刷新されたグラフィックエンジン
・SmartArtグラフィックの賢い使い方
・新しくなったプロジェクトギャラリー
・Mac First、Mac Onlyな機能たち
・簡単・便利に進化したツールパレット
・パワーアップされた辞書を使う
・新しいファイルフォーマット「OOXML」
・ファイルの互換性 (1) ファイルコンバータを使う
・ファイルの互換性 (2) 新機能と旧ファイルフォーマット
・ファイルの互換性 (3) VBAは動かない
・ファイルの互換性(4) 「メイリオ」収録でVista互換に
・マクロに代わる自動化処理
・さよならマックス - Officeアシスタントに代わるヘルプ機能
・Office Onlineのコンテンツを活用する
Part 2 Word、Excel、PowerPoint共通の機能・Office全般編
・ツールバー / メニューバーをカスタマイズする
・ツールパレットを設定する
・エレメンツギャラリーを表示する
・SmartArtを活用する
・SmartArtをスマートに使う
・最新のワードアートを活用する
・スクラップブックを活用する
・日本語フォントの注意点
・PDFで出力する
・ファイル形式の違いを知る
・Windowsユーザにも確実に文書を開いてもらう
・互換性をチェックする
・ファイルフォーマットを一括変換する
・Office 2004 for Macと同時に使う
・日本語以外の言語を利用する
Part 3 Word 2008編
・イメージドロップエリアで同じ意匠の図を作る
・合字を利用する
・Word文書の図に番号を割り当てる
・文書のプロパティを一括設定する
・環境設定パネルのここが変わった
・差し込み印刷マネージャを活用する(1)
・差し込み印刷マネージャを活用する(2)
Part 4 Excel 2008編
・数式オートコンプリートを活用する
・配列数式で列を指定する
・新登場の関数
・IFERROR関数でスマートにエラー対策する
・新しくなった数式バー・数式パレット
・セルを範囲指定してPDFに出力する
・マクロ付きの文書を保存する
Part 5 PowerPoint 2008編
・プレースホルダを賢く使う
・配置ガイドを目安に文書の体裁を整える
・Apple Remoteでスライドショーを操作する
・PowerPointのスライドショーをiPodで見る