ペガシス
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定番のTMPGEnc Mastering Worksであるが、利用したV6.2.6.33ではH.264/H.265のエンコーダとして、従来のIntel Media SDKに加えてAMD Media SDKへの対応が追加されている(Photo10とPhoto11)。

  • Photo10:Ryzen APUで内蔵GPUを使っていると、H.265/HEVCのエンコーダとしてAMD Media SDKが選べるようになった

  • Photo11:H.264/AVCも同様

ただ現時点では、H.265に関しては問題なく動作したのだが、H.264については下記のような問題が生じた。

  • 最大出力サイズが横1920pixelに制限される(Photo12)
  • そもそも動かない(Photo13)
  • Photo12:Photo11と見比べていただくと分かるが、元のソースは横幅3840pixelで、出力もこれに設定していたのが、自動的に1920pixelに縮小される

  • Photo13:とりあえず横幅1920pixelにして実行してもこうなる。Profileやパラメータをいろいろ調整してみたものの解決せず

今回はとりあえずAMD Media SDKはH.265のみで試用している。また外部GPU(GeForce GTX 1080)利用時に関しては、選んでみようとしたものの、そもそも選べない(Photo14)状況だった。

  • Photo14:恐らくPhoto07で内蔵GPUを無効化すると、見えなくなるものと思われる。このあたり、Autoで共存できるようになった時にもまだ見えなくなるかどうかは確認が必要

もっとも現状TMPGEncのAMD Media SDKに関しては、GCNベースの拡張カードをサポート対象としており、未発表のRyzen APUで正常に動かないのは仕方がないところではある(逆に言えば将来はちゃんと動くことを期待しても良いと思う)。

ということでテストの結果を見てみる。まず内蔵GPUの場合(グラフ14)、x264/x265エンコーダを使った場合はほぼCPU性能そのままといったところ。ところがH/Wエンコーダを利用すると、Core iが24fpsそこそこなのに対し、Ryzen 3/5は32fpsとかなり優秀なスコアを残している。

  • グラフ14:TMPGEnc Video Mastering Works 6(Int GPU)

Ryzen 3 2200GとRyzen 5 2400Gで差がないのもすばらしく、AMD Media SDKを使う前提ならRyzen 3 2200Gですらメディアエンコード向けに適しているとしても良いほどだ。あとはH.264がちゃんと動けば完璧というあたりで、このあたりは今後の展開を待ちたいところだ。

一方GeForce GTX 1080を使う(グラフ15)とCPU性能そのままになる。こちらもNVENCを使えばまた話は変わるのだろうが、それは本稿の範囲を外れるので今回は論じない。

  • グラフ15:TMPGEnc Video Mastering Works 6(Ext GPU)

画質などの関係で「ソフトウェアレンダリングしか利用しない」という人にはそもそも今回のクラスのCPUでは力不足(Core i5-8600KでH.264ですら8.7fps程度でしかない)で、まぁ「どれも駄目」という話になるだろう。

それを前提にすると「CPU性能そのものはRyzen 3/5はCore iにおよばない」ことの再確認と、AMDの内蔵エンコーダは期待が持てるという話の2つが分かった。