最後に消費電力である。いつものも通り、Sandra 2017 SP4のDhrystoneとWhetstone、それと3DMarkのFireStrike Demoの実行時の消費電力変動を確認してみた。まずグラフ70とグラフ71がDhrystone/Whetstoneの消費電力変動、グラフ72とグラフ73がFireStrike Demoの消費電力変動である。
グラフ70とグラフ71は、内蔵GPUかGeForce GTX 1080かの違いはあるが、負荷を掛けるのはCPUの側なので、グラフそのものは近似傾向にある。一方グラフ72とグラフ73はGPU側に負荷を掛けるので、全くグラフの傾向が異なっている。
さて、この4つのグラフからそれぞれの処理中の消費電力及び待機時の消費電力をまとめたのがグラフ74とグラフ75、各々の消費電力と待機時の消費電力の差を示したのがグラフ76とグラフ77となる。
意外に低く出ているのがCore i3-8350Kの消費電力なのだが、実はこれはちょっとしたトリックである。Core i3-8350KはTurboをサポートしていないので、ある意味常に4GGHzで動作する(ちなみに今回のテストでは、Windowsの電源オプションは常に「高パフォーマンス」である)。
それもあって、グラフ74とグラフ75でIdleを見るとCore i3-8350K一番とは言わないまでもかなり高めになっている(GeForce GTX 1080と組み合わせるケースでは、内蔵GPUを無効化した分むしろ消費電力が下がっているようだ)。そのため、一見するとCore i3-8350Kが一番省電力に見えるが、実際の実効消費電力はむしろRyzen 3 2200Gの方が低い。
それはともかく、やはり際立つのはRyzen 3/5の消費電力の低さである。もちろん65WのTDP枠に対して、Ryzen 5 2400GのDhrystone/Whetstoneではほぼこの枠を使い切っている感はあるが、Ryzen 3 2200Gはかなりゆとりがある。そしてFireStrikeでは、Core i5-8600Kとほぼ同程度の消費電力増分で2倍の性能を引き出しているわけで、これはかなり効率が良い。
絶対的な性能ではCore iシリーズに届かないというのはこれまで見た通りだが、Core i3-8350Kはともかく、Core i5-8600Kはこれも95Wという定格TDPをぶっちぎっている可能性は非常に高い(なんでGeForce GTX 1080を組み合わせた状態のDhrystoneで97.6Wも消費電力が増加しているのやら...)。
逆に言えば、それこそ水冷ヘッドなどを組み合わせて、Core i5-8600Kと同程度の消費電力になるまでオーバークロック動作させた場合、性能差はもっとずっと小さくなるのは間違いなく、あとはそういう動作をさせたいかどうか? というあたりかと思う。
ところで電力消費が低いRyzen 3 2200Gだが、これは少し設定するとそれこそIntelのTシリーズ(TDP 35W)と同等の消費電力に抑えて使うのも可能だろう。当然CPU性能はそこそことなるが、GPU性能を生かすことで、Tシリーズを使った場合よりもずっと使い勝手が良くなるように思う。