グラフ55~57がScientific Analysis。まずGEMM(グラフ55)を見ると、なんでSGEMMのみCore i7-9700Kが突出してるのか?というと推定だが、先にグラフ10のところで書いた故事(HyperThreadingを有効化すると性能が落ちる)がモロに出ている気がする。

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    グラフ55

BLAS(Basic Linear Algebra Subprograms)とかLAPACK(Linear Algebra PACKage)の書き方しだいであるが、あまり考えずに書くとHyperThreadingを利用した場合にリソースの競合が起きて性能が落ちるらしい(AVXユニットの奪いあいになる、という話を前に聞いたことがある)。IntelのMKL(Math Kernel Library)はこのあたりをきちんと回避したようだが、Sandraが使っているものはまだこの問題にブチあたっているようだ。これはSGEMMで1TとMTの性能を比べてみると分かりやすい。

ちなみに以前、Ryzen Threadripper 2のテストをしたときには、SandraのバグによってThreadripper系でScientific Analysisの結果が出ておらず割愛したのだが、Ryzen 7 2700Xだけは数字が出ていた。

GEMMの場合、 ・SGEMM MT 241.18GFLOPS
・DGEMM MT 112.71GFLOPS
・SGEMM 1T 49.36GFLOPS
・DGEMM 1T 20.11GFLOPS
という結果に終わっている。

AVX2まではサポートしていても、AVX512をサポートしないRYZEN系では、このあたりのピーク性能がざっくり半分になる。まぁここから考えても、Intel系の性能は妥当と言うべきか。ただ相変わらず、妙に第9世代の2製品の性能が高いのが気になる(DGEMM MTなどそれが顕著すぎる気がする)。

FFT(グラフ56)ではむしろ、Core i7-8700Kの健闘が目立つが、FFTの場合はメモリ操作が主体なので(L3もあふれる)、メモリのボトルネックが相対的に少ないCore i7-8700Kが最速というあたりではないかと思う。その証拠に、Single 1TだとCore i9-9900Kが最速だからだ。

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    グラフ56

逆にN-Body Simulation(グラフ57)だと、MT/1Tに関わらずCore i7-8700Kの落ち込みが明確である。落ち込み、というよりは第9世代の2製品が妙に高いスコアになっている、というべきか。

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    グラフ57