――今回配信オリジナル作品を作っていく中で感じた課題はありましたか。

それはいくつもいくつもありますよ。

――前回はテレビのフォーマットで作られたとお聞きしたのですが、今回もそうだったのでしょうか。

そこが悩みどころで、前回はテレビ番組のフォーマット……ではないんですけど本当は。CMも入らないですから。でも、「見やすさはテレビのようなものですよ」というほうがわかりやすいので、ニチアサというよりは海外ドラマ的なところがあるのかもしれませんが、30分番組の体で作る方法をとりました。

当然その作品のseason2なので、全く違うやり方というのはできませんから、そこは踏襲しているんですけれど、今のこの形というのが果たして配信という形態に一番適しているのかどうかはわからないですよね。尺もそうだし、構成もそう。そこは未だ模索をしている感じではあります。

一方で、配信である・ないにかかわらず、「仮面ライダー」という名前を冠している以上は、「バトルシーン」というのを期待するお客さんは一定数絶対いるはずなんです。前半にバトルがあって、クライマックスにもバトルがあるというのは、テレビフォーマット云々にかかわらず、作品として踏襲せざるを得ないというところはありますね。

――テレビだけではなく、今は配信にもたくさんの番組があります。対テレビというだけではなく、配信作品の中で埋もれずに勝つ方策も必要になってくるかと思うのですが、その点白倉さんはどうお考えですか。

どうしてもテレビ屋なので、テレビとの比較になっちゃうんですけど、どっちかというとメディアとしてはテレビのほうが特殊なんですよね。テレビって垂れ流しメディアで、そこはいいところでもあり、制約でもある。視聴者は全然意図しない番組を目にしちゃうということがあって、番組と接触できる裾野が広いところがテレビの特性として一つあります。

もう一つは、だからこそこの番組を見ようと思って頭からちゃんと見る人もいれば、ウッカリ途中から見た人も満足させなければならない難しさがあります。映像メディアの中で、「途中から見ること」を想定するのがテレビ番組の特性なんですね。映像メディアとしては、ビデオや映画などテレビ以外は頭から見ます。テレビだけが違うんですよね。

『アマゾンズ』のような配信は、テレビのような体ではあるが、選んだ人しかクリックしない。ウッカリ間違って見るって人はたぶんいないですよね。『アマゾンズ』を旅行番組だと思って見てみたら違った、南米ではなかったなんてことは、まあないわけですよ(笑)。大方の人は選んで見るもので、そういう人がエピソード1から見る、「選んだ人が頭から見る」ものなんですね。

ですので、まずは「選んでいただく」。そして、また「続けて見ていただく」。この2つが重要になってきますよね。ただ、この「選ぶ」というのがよくわからない。そういった意味では、敵はテレビでなくて、全メディアなんですよ。「Amazon プライム・ビデオ」だと、数ある選択肢の中から選んでもらうための目立ち方を考えるのですが、現状これはやっぱり作品が「仮面ライダー」だということが一番の強みになっているのだと思います。差別化は考えますが、そうすることが成功の方程式になるのかどうかもまだわからないですね。