もう一つは、バランス。今回でいうと少年・少女、千翼とイユですね。2人を軸にしていこうという小林さんの方針と、season1から引き続き登場するキャラクターや世界観とをどう折り合いをつけていくのかという調整をする必要があります。だから、本当は「まるっきり新しい番組ですよ」というほうが楽なんですよね、小林さんにとっても。世界観とか、アマゾンとは何なのか、という設定だけ踏まえて、全く違うエリアで全く違う登場人物たちが別のお話をやってますというほうが簡単じゃないですか。でも、あくまでもseason2と銘打つ以上は、あの『アマゾンズ』の続編でもある。小林さんには「全く新しい話でもあり、続編でもある」という難しい綱渡りをしていただきました。
――そういった構造は歴代「仮面ライダー」として考えてみてもあまり例がないのではないですか?
いや、後説なんですけど、「仮面ライダー」って元々こういうもんなんですよね。『仮面ライダー』(1971~1973年)って、1号・2号という2人のライダーがタメを張るっていう番組がすごく当たって98話まで続いたもの。その後はじゃあどうするんだということで、3人目の仮面ライダーを出すときに、いろんな道があったと思うんです。1号・2号という番組の中に3人目を入れ込むという道もあれば、もうまるっきり切り離して新しい番組として『ウルトラマン』『ウルトラセブン』みたいにやってみるというやり方もあっただろうけど、一応新番組『仮面ライダーV3』というものの1話なんだけど、でも前の番組の続きでもあるという方法をとった。キャラクターも本郷猛たちが出てきますよね。
この「99話としても1話としても見られる」という離れ業をやってのけたことが、「仮面ライダー」シリーズの今日をもたらした要因の一つと考えると、『アマゾン』じゃなくて1号・2号・V3ですけど、「仮面ライダー」ってそもそもこういうものだったんじゃないかなと後になって思いました。先にわかっていれば、「これが仮面ライダーだ!」ってアピールできたんですけど(笑)。