白本さんに関しては、イユはあの通り台本ではほとんどセリフのない「……」ばっかり。「ターゲット確認」くらいの役どころなんだけど、こっちは芝居の力も必要とされるんですね。"柄"も大事なんですけど、まずは芝居がすごくできるというところで白本さんにお願いすることになったのですが、そのあとカメラテストすることになったんですよ。2回、いや3回か。

オッドアイとかも含めて、一回カメラで写してみて、イユというものを白本さんご本人含めてどう具現化していくのか。撮影でいうと、カメラレンズに布をたらしてみたり、いわゆる市販のフィルターをかけてみたりといろいろ試すんですけど、その中でイユは普通には立たない・歩かないとかそういう指導を監督がして、そこから仕草や目線の付け方を白本さん本人が飲み込んでいくと、ものすごいオーラを出してきたんです。

もう、カメラテストの最中にスタッフが総毛立つというか、「これはすごいものが出てきたな」というイユ像が出来上がっていく。それはご本人の"柄"ももちろんあるんだけど、芝居力ですよね。立っているだけでもイユとしての存在感を醸し出すというのは、あれって本当にすごいことなので……。「(高倉)健さんは背中で語る」とかあるじゃないですか、そういうものを感じましたね、彼女には。

――話の筋から逸れてしまいますけど、カメラに布をかけて撮影するんですね。

特にイユのところですかね。昔は紗(しゃ)をかけるといったんですけど、神秘的に見せるために、本当に神秘のヴェールを通して撮る。そのヴェールがどの物質がいいのかということが問題になるのですが、今回は100円均一の洗濯ネットが一番いいということになったのではないかと思います。何万もするなにかとかではなく……。

――それは何万もするなにかを経ての100均ですよね。

そうです、そうです(笑)。