Amazonプライム・ビデオで配信中の特撮ドラマ『仮面ライダーアマゾンズ』season2が、6月30日に配信されたラストエピソード「AMAZONZ」で最終回を迎えた。異色の仮面ライダー『仮面ライダーアマゾン』のリブートであり、完全新作として2シーズンを走りきった本作は、ショッキングな展開とハードアクションで多くのファンの心をつかんだ。

本稿では、プロデューサーとして作品を統括した東映の白倉伸一郎氏を直撃。白倉氏は、2001年から2002年までTV放送された『仮面ライダーアギト』をはじめ、現在に続く「平成仮面ライダー」シリーズの構造を確立することに尽力してきた人物といえる。白倉氏のもと配信オリジナルとして制作された『アマゾンズ』は、TVシリーズの"お約束"から外れ、いわゆる「ヒーロードラマ」として括ることはできないドラマとしてのおもしろさを追求した内容であったこともファンからの支持を集める要因となった。

挑戦的な作品が生まれる土壌として、比較的自由度の高い配信というジャンルが注目を集める中、白倉氏はその現状を「テレビと違うありようだけれども、だんだん堅苦しくなっていっている」と、その自由も限られつつあると見る。テレビから配信へという遠心力の中で、その勢いそのものを体現したような野心作『アマゾンズ』とは何だったのか。1万字を超えるインタビューで迫った。※劇中の重大なネタバレを含む箇所があります。ご注意ください

東映の白倉伸一郎プロデューサー

――『アマゾンズ』は、"異色の仮面ライダー"としてニチアサ(テレビ朝日系列の日曜あさの子ども向け番組枠。現行のライダーでは『仮面ライダーエグゼイド』が放送中)とはまた異なるファンも獲得しました。season1についてはファンの反応に直接触れる機会もあったかと思いますが、白倉さんにとって意外だったものはありましたか?

それを一番目の当たりにしたのは、昨年の11月22日に開催された中野サンプラザのファンイベントです。若い女性の方々が数多くいらっしゃったのですが、普通は藤田富さんとか若いヒーローのほうが人気を集めるもの。ですが、その時は駆除班の人たち、特に福田とかゴツい人たちに歓声があがっていたのがものすごく意外でしたね。

――season2の制作発表会では、白倉さんの「こんなに面白いものができるとは思わなかった」というコメントが印象的でした。これには想定していたものを超える飛躍があったからこその発言だと思うのですが、その飛躍の要因は何だったのでしょうか。

一番大きいのは、各キャラクターの「存在感」ですね。各々の俳優さんがキャラクターをきちんと人間として演じのけていることのすごさというものがここまでできるとは……。たとえば6話で、大集合しちゃうシチュエーションがあるんです。御一行様がゾロゾロきちゃう時に、ごっちゃにならず、団体様ではなくて、個々が人間として機能するっていうのはなかなかできないことなので。

単に個性が違う、キャラクターが違うというだけではなくて、「立場が違う」ということがあります。それが非常に難しいところなんですけど、そこもきちんと描き分けられていて、見ていてわかる。この人は、こういう設定だからこうなんだじゃなくって、芝居一つ一つで違いがわかるというところまで到達するというのはなかなかあることじゃない。

単純に、"板付き"と呼ばれる2人の人間がしゃべっているというところでもそれが強く出るから、単に背景を説明してますっていうところですら面白い。基本的にはバトルがあって、しゃべってしゃべってバトルなんですよね(笑)。そのしゃべっているところも含めて全体的に面白いし、この先どうなるんだろうというふうに思わせる。そこは本当にとんでもないなと思いました。