改良されたアプリケーション
Windows 7に付属するアプリケーション群だが、「ペイント」や「ワードパッド」など一部のアプリケーションはリボンUIを採用している(図24)。
Microsoft Office 2007で初登場となったリボンUIは、多様化した機能へ容易にアクセスするためのシンプル化として導入されたが、既に以前の操作体系に慣れていたユーザーも多く、少なくとも筆者の周りでは好評価の声を聞かせる知人は存在しない。
そのようなリボンUIを投入したMicrosoftの意図は、Engineering Windows 7 ブログで、「様々な機能やコマンドを異なるメニューやツールバーの下に公開することなく、すべてのコマンドのリッチなグラフィカル ユーザーインターフェースを1つの場所で提供します」と述べられているように、アイコンなどを用いることで直感的なUIの提供にあるのだろう。
もちろんMicrosoft Office 2007同様、従来のキーボードショートカット機能も残されており、[Alt]キーを押すと各タブや機能に割り当てられたキーがポップアップ表示される。もっともすべての機能に割り当てられていないため、キーボード操作派の方々もマウスを併用しなければならないという弊害はあるものの、ある程度は使えるだろう(図25)。
機能的に大きく変化した「電卓」は、新たにプログラマモードと統計モードを搭載した。前者はプログラム開発に必要となる進数の切り替えや、ビット計算用領域を設けることで、より使い勝手が向上している。後者は計算対象のデータを入力して統計計算を実行するというもの。入力したデータは履歴領域に残されるため、計算しやすくなっている。詳しくは後述するが、単位変換や日付計算のほかにも、ワークシートを用いたローン計算や燃費計算機能も新たに搭載。もちろんWindows 7というOSのクオリティには直結しないが、古きバージョンから愛用者の多かったアイテムだけに、機能拡張へと至ったのだろう(図26~27)。
Windows 7におけるネットワークアプリケーションはいくつか廃止された。具体的には、WindowsメールやWindowsアドレス帳といった電子メール関係、既にWindows Vistaでも廃止されていたWindowsメッセンジャーがそれにあたる。このほかにも、WindowsカレンダーやWindowsフォトギャラリー、Windowsムービーメーカーも廃止に至り、これらはすべてWindows Liveの代替アプリケーションを使用しなければならない(図28~29)。
この点についてMicrosoftは、Windows OSの開発スパンとインターネットアプリケーションに求められるネット技術に追いつくための整合性が取れず、ネットワークアプリケーションの陳腐化を避けるため、多くのアプリケーションをWindows Liveに統合したと言う。ただし最近の流行として、アプリケーションとしての電子メールクライアントを使わず、どのような場所からもアクセスしやすいWebメールを用いるケースが多い。そのため、電子メールクライアントに以前ほどの重要性はなくなったが、Webメールのバックアップや使用スタイルの相違により、電子メールクライアントを必要とする方は、Windows Liveメールを用いるといいだろう。