自分はどのパターンかをチェックしよう!

株券電子化にともなって、手続きが必要かどうか、手続きの内容などは、大きく4つのパターンにわけられます。以下、箇条書きにしましたので、自分はどのパターンにあてはまるのか、確認してみてください。

  1. 証券会社に株券を預け、ほふりに預託している⇒株券電子化にともなって、必要な手続きはありません。株券電子化後も、株主の権利は守られますし、今までと変わることなく取引ができ、売却も可能です。
  2. 株券は証券会社に預け、保護預かりにしている⇒株券が証券会社で保護預かりになっている場合、まずは、名義人を確認しましょう。名義人が正しければ、株券電子化後も特別口座で管理されます。電子化後も株主権は守られますが、そのままでは売却することができません。今後、売却する予定があれば、現在、利用している証券会社を通じて、ほふりに預託しましょう。また、今回の株券電子化では、特別措置によって、証券会社の判断でほふりに預託されることもあります。また、名義の書き換えが済んでいない場合は、急ぎ、名義の書き換えを行いましょう。※名義の書き換え方法については、前ページを確認してください。
  3. 株券が手元にあり、名義をすでに書き換えている⇒株券の名義が正しいものであれば、株券電子化が実行されても、特別口座で管理され、株主としての権利を失うことはありません。ですので、手元に株券を保管しておくことも可能ですが、ほふりに預託していないため、売却をはじめ手続きが面倒になると考えられています。

株券が移される「特別口座」とは?

ここで、株券が移される「特別口座」についてかんたんに説明しましょう。特別口座とは、ほふりに預託していない株主の権利を守るために設けられたもの。この特別口座は、発行会社が開設し、信託銀行などに開きます。あくまでも、発行会社が株主のために暫定的な口座と考えられているので、売却をはじめとしてさまざまな制限があります。

代表的なものに、株主が売却しようと思ってもできないことや、贈与ができないこと、質権設定などができないことがあげられます。例えば、「特別口座」に入ったままでは売却はできないので、株主が売却したい場合は、証券会社の自分の口座に移してから注文を出さなくてはなりません。証券会社に口座がなければ、新規で開設する必要もあります。 「特別口座」のある信託銀行から、自分の口座のある証券会社に移管が行われるまでには数日かかるといわれています。また、移管についての手数料も必要になるといわれています。

「特別口座」が開設された信託銀行を確認

ここで、もう一度、話を整理しましょう。名義書換が済んだ株券は、電子化実行後も、手元に置いて保管することは可能ですが、売却などの面で不利になります。ですので、ほふりへの預託の手続きはしなくとも、どこの信託銀行に特別口座があるのか確かめておくといいでしょう。電子化スタートの1カ月前までに、自社のサイトや新聞などで、「特別口座に関する公告」が義務づけられていますが、気がつかない場合もあります。その場合は、直接、発行会社に問い合わせるなどして、確認するといいでしょう。

もし株券が手元にあり、名義を書き換えていない場合は?

前のページの手続き方法を参考にして、名義の書き換えを行いましょう。失念していた株主には救済措置も考えられているが、権利が失効する可能性が高いことに加え、手続きに時間がかかることも想定されるので、もっとも急を要すると考えたほうがいいでしょう。

電子化実行後のスケジュールにも注意!

株券の名義の書き換えが済んでいれば、「特別口座」に移され、株主の権利は保護されます。ただし電子化実行後、約3週間は、株主名簿などのデータを確認する手続きなどが発生するため、さまざまな制限がかかります。もっとも懸念されるのは、「特別口座」から証券口座への移管が一時的にできなくなることです。例えば、「特別口座」に移された株を、いざ売却しようと思っても、1月下旬までできなくなってしまうのです。そのため、企業の業績悪化などの事態に対応できなくなる恐れもあります。ですので、今回の株券電子化を機会に、ほふりへの預託を行っておくことが、資産を守ることになりそうです。⇒証券保管振替機構(ほふり)って何?