株式の管理がより安全に行える
株券が電子化されることで、株主にはどんなメリットあるのでしょうか。ここではそのメリットについて、詳しく解説していきましょう。
株券電子化のもっとも大きなメリットのひとつは、株式の管理が効率的・安全になることです。自宅や会社などで株券を保管することによる盗難や紛失のリスクをゼロにできます。同時に、今まで株式を保管するためにかかっていたセキュリティ費用も削減できます。また、紛失や盗難にともなう再発行もなくなるので、再発行の手続きやそれにかかる費用も不要となります。
次に、株式取引の際にも、安全になるということがあげられます。具体的には、偽造株券をつかまされる可能性がなくなるのです。また、売買に伴う株券の受け渡しも不要になりますので、証券取引もスピーディに行えるようになります。株式取得の都度必要な名義書換などの手続きも不要になるので、証券取引にかかる時間と手間が削減できるというわけです。
株式併合などでの手続きが不要になる
加えて、企業の合併などに伴う、もろもろの手続きも不要になります。現在の制度では、株式併合や会社の合併、株式交換による上場会社の企業再編が行われた場合、手持ちの株券を発行会社に提出するなどの手続きが必要でした。また、企業名の変更や売買単位の変更の際にも、株券交換などの手間がかかりました。
しかし、株券電子化が実施されれば、こうした手続きがまとめて不要になります。企業の吸収・合併などが盛んに行われている昨今、こうした手間を省いてくれるのは、うれしいメリットといえそうです。
■株券電子化の3つのメリット
- 株式を安全・効率的に保有できる
- 株式取引を安全・スピーディに行える
- 名義書換などの手間を削減してくれる
手続きのスケジュールは?
株券電子化は、実務レベルで2009年1月に実施される予定です。株券をほふりへと預託する最終期限日は、今年12月19日と決められていますが、各証券会社ではこの期日より前倒しにして、受付期限を設定していることが多いようです。ここでは、年内に必要な手続きのスケジュールについて、もう少し詳しく解説していきましょう。
一斉移行日は今後政令で定められますが、実務レベルでは実施2009年1月を予定として進められており、以下は、それにともなうスケジュールです。
■現在から11月中旬~下旬 特別口座開設の公告
株券を自宅や証券会社の保護預かりで保有しており、なおかつ名義書換が済んでいない人は、早めに名義書換の手続きを行いましょう。場合によっては、11月でも証券会社が持ち込む件数を制限する可能性も考えられます。株式を発行する会社は特別口座の開設についての公告が義務付けられており、自社のホームページや新聞などで告知をはじめます。
■2008年12月上旬~中旬ごろ 特例措置の適用期間
株券が電子化される2009年1月5日1カ月前から2週間前の前日までの期間には、証券会社が保護預かりしている株券は、証券会社の判断でほふりに預託できる特例措置がとられます。この措置がとられた場合、株主が手続きをしなくともほふりに預けられ、後日、その結果が株主に通達されるようになっています。
■12月中旬から下旬 いよいよ目前! 制限期間に
ほふりへの預託期限は12月19日と決まっています。またこれより1月5日までの約2週間は、事務処理などの混乱を防止する目的で「制限期間」になり、ほふりへの株券の預託や引き出しができなくなります。
■2009年1月 株券電子化スタート!
制限期間が解除され、売買などが可能になります。また、一斉移行後は、振替口座データの自動転記、株主名簿の照合と確定、特別口座の解説などができるようになります。ただし、電子化後、3週間は特別講座から証券口座への振り替えはできません。
現在、証券会社各社は、株券を持ち込む際には、余裕を持ってと呼びかけているほか、現金のプレゼントや登録手数料無料などの、キャンペーンなどを実施しているところも多いよう。大切な財産である「株券」の価値をゼロにしないよう、できるだけ早い時期に手続きをしましょう。⇒株券電子化までの手続きの方法は?