軟らかい、どこか懐かしい絵づくり

画像について。E-500を使っている目からすると、ずいぶん抜けが良くなったというのが第一印象。特徴のひとつだった赤みが少し減らされ、青のコントラストが少し強くなった(全体に青いというわけではない)。その結果、墨というか、濁りが減ったように見える。

ただ、オリンパスの絵づくりは健在だと思う。いろいろ意見はあるが、オリンパスの魅力は、ちょっと懐かしい、軟らかい絵づくりにあると、個人的には思っている。色や線が消えていくときの感じや色の重ね方など、どこかホッとするようなところがある。それは多分に流行の絵づくりとは相容れないし、わかりづらいのも確か。E-410ではそのオリンパス路線を守りながら、今風な絵づくりとバランスを取っている。いいところに持ってきたと思う。

彩度の高い色の場合、補色で階調を得るカメラが増えているが、オリンパスは依然とその方法は採っていない。彩度の高い赤い被写体でも赤を張りつかせない。しかし全体に赤が強かった従来の絵づくりでは、赤の階調がなくなることもあったが、E-410ではちゃんと階調が表現されている。ずいぶん使いやすいはずだ。

従来どおりカラーモード(仕上がり)は「ポートレート」や「風景」といった目的別のモードを持たず、「VIVID」「NATURAL」「FLAT」の3種類のみ(モノトーンは除く)。E-500に比べて、E-410ではこのモードの差が大きくなった。特に青の発色はモードによって大きく変わる。VIVIDでは鮮やかになりすぎることもあるので、確認して使いたい。

また、E-410は「ハイキー」「ローキー」が選択できる「階調」の機能もある。自動でそれぞれ明るめ、暗めに撮影されるもので、実にうまく露出をコントロールしてくれる。シーンによってはこれを使っても面白そうだ。

カラーモード(仕上がり)のメニュー。「VIVID」「NATURAL」「FLAT」のほか、モノトーンではセピアや緑の「調色」、「フィルター効果」などが選べる

「仕上がり」はそれぞれでコントラストやシャープネスが設定可能

仕上がり「VIVID」で撮影
ED 14-42mm F3.5-5.6
17mm(34mm相当)
SHQ(JPEG)
プログラムAE(F9、1/200秒)
ISO 100
WB:オート
仕上がり:VIVID

仕上がり「NATURAL」で撮影
ED 14-42mm F3.5-5.6
17mm(34mm相当)
SHQ(JPEG)
プログラムAE(F9、1/200秒)
ISO 100
WB:オート
仕上がり:NATURAL

仕上がり「FLAT」で撮影
ED 14-42mm F3.5-5.6
17mm(34mm相当)
SHQ(JPEG)
プログラムAE(F9、1/200秒)
ISO 100
WB:オート
仕上がり:FLAT

仕上がり「モノトーン」(標準)で撮影
ED 14-42mm F3.5-5.6
17mm(34mm相当)
SHQ(JPEG)
プログラムAE(F9、1/200秒)
ISO 100
WB:オート
仕上がり:モノトーン

Exifから各「仕上がり」の設定内容をチェックした。といっても、ここに現れない設定がモードごとにプログラムされていると思われる

高彩度被写体の比較を行なった。各カラーモードで同じように撮影し、○の部分のヒストグラムをチェックした
ED 14-42mm F3.5-5.6
25mm(50mm相当)
SHQ(JPEG)
マニュアル(F16、1/60秒)
ISO 100
WB:マニュアル

高彩度被写体の比較。E-500に比べてE-410のほうが補色の変化が大きいのがわかる。主色(赤)はE-410でも張りつかないが、少しずつ右に寄っている

「階調」メニューでは「ハイキー」「ローキー」といった明るさが選択できる。自動で露出が決まるため、マニュアル露出ではこの機能は使えない

階調「ハイキー」で撮影
シグマ55-200mm F4-5.6 DC
160mm(320mm相当)
SHQ(JPEG)
プログラムAE(F5.4、1/13秒)
ISO 100
WB:オート
仕上がり:標準

階調「標準」で撮影
シグマ55-200mm F4-5.6 DC
160mm(320mm相当)
SHQ(JPEG)
プログラムAE(F5.4、1/20秒)
ISO 100
WB:オート
仕上がり:標準

階調「ローキー」で撮影
シグマ55-200mm F4-5.6 DC
160mm(320mm相当)
SHQ(JPEG)
プログラムAE(F5.4、1/25秒)
ISO 100
WB:オート
仕上がり:標準