より身近になったノルウェーへと旅立つ
今年7・8月の間、スカンジナビア航空(SAS)は東京-ベルゲン(ノルウェー)間の直行便を運航する。これにより、15~18時間だった所要時間が11時間と大幅に短縮し、より交通の便がよくなる。世界遺産の木造建築物が立ち並ぶブリッゲン地区や、青くどこまでも透明なフィヨルド、世界一急勾配の鉄道として有名なフロム鉄道など、北欧・ノルウェーには人の心を引き付けてやまない様々な観光名所がたくさんある。そこで今回は、ノルウェーの素晴らしい絶景や町並み、人の様子を写真と文で紹介しよう。まず旅はフィヨルドの玄関口であるベルゲンから始まる。
筆者がノルウェーを訪れたのはまだ4月下旬のこと。7月からノルウェーへの直行便が出るため、今までよりずっと身近になったノルウェーの魅力を伝えようという気概を持って、である。本稿では写真と文でノルウェーの魅力を紹介していこう。
ノルウェー南西部に位置し、フィヨルド観光の玄関口であるベルゲンから旅は始まる。人口は約24万人、ノルウェー第二の町にしてノルウェー最大の貿易港があるベルゲン。14世紀~16世紀にはハンザ同盟の要地として繁栄し、19世紀までノルウェー第一の都市だった。フィヨルドの入り江を囲むように発展した町並みはどこまでも穏やか。山々へと続く緩やかな勾配の坂道、マッチ箱のような白い家がびっしりと立ち並ぶ山肌。港周辺には黄色や白色のバスが往来し、そんなことにはお構いなしでカモメがのんびりと羽を休めている。
ベルゲンには、世界遺産として有名なブリッゲン地区がある。ベルゲンはもともとハンザ同盟都市。ちなみにハンザ同盟とは、13世紀から17世紀にかけて北海・バルト海沿岸に成立した中世ドイツの都市同盟で、14~15世紀ごろの最盛期には約200もの加盟都市が参加したという。ハンザ都市であった往時の姿を残すブリッゲン地区は1979年、ユネスコの世界文化遺産に登録されている。
色とりどりの建造物が愛らしいブリッゲン地区。建物はかつてのハンザ商人たちの住居やオフィスだった |
黄に赤に白……、愛らしい三角屋根の木造建築物は北欧のイメージにぴったりだ。建物の間の細い路地を入っていくと、切り妻造りの家々が目の前に現れる。最上階には複滑車装置の付いたクレーンが備えられ、今でも窓から滑車を利用して荷物の揚げ下ろし作業をしているとのこと。建物内では芸術家の工房や雑貨を扱うショップなどが営業しているので、眺めているだけでも楽しい気分になるだろう。