デスクトップPC並みの性能が厚さ20mm足らずのボディに入っていることは驚きだが、発熱はどの程度シビアなのだろうか? 室温24℃環境でアイドル状態(10分以上放置したもの)→ Metro Exodusを起動 → 30分放置してゲームを終了 → 8分程度放置した時のCPUパッケージ温度およびGPUの温度変化を追跡してみた。3DMarkの検証時と同じ「ノーマル+Optimus」設定と「Turbo+Discrete Graphics」設定でそれぞれ比較する。温度測定は「HWiNFO」を使用した。
「Turbo+Discrete Graphics」だとCPUの温度がヤマアラシのトゲのように激しく上下する。ゲーム中は90℃を超えることも時々見られたが、サーマルスロットリングに入ったのはテスト期間中に10回にも満たない。サーマルスロットリングに入る前にPower Limitでクロックが下がる感じだ。これに対しデフォルトの「ノーマル+Optimus」モードではCPUパッケージ温度やコア温度が90℃を超えることはなかった。
だが面白いのはGPU温度の方だ。Turboモードにするとファンの回転数が上がるため、GPUの方が冷やされる。Turboモード時だと最高で76℃、ノーマルモードで79℃という結果になったが、これはデスクトップ向けのグラフィックスカード並みの冷却力といえる(Max-Qなのでクロックが抑えられているのも理由のひとつ)。
この温度検証前とゲーム終了直前の温度分布をサーモグラフィカメラ「FLIR ONE」で撮影してみたのが次の図だ。
ゲームを30分程度続けると表面はおおよそ60℃。中央部はかなり熱いと感じるが、キーボードの部分はほとんど熱を感じない。どれだけCPUやGPUを回してもキーを操作する指は全く熱を感じないのだ。ただ熱気が本体の左右に吹き出すため、マウスの置き方が悪いと手が熱くなる。GX701GXRの設計機構的に仕方ないとはいえ、もう一工夫ほしいところだ。
まとめ: 細かい欠点はあるが、パワーがあれば全てを許せる
以上でROG ZEPHYRUS S GX701GXRの検証は終了だ。軽いゲームから重いゲームまで一通り回してみたが、画質を犠牲にすることなく高フレームレートが出るのは本当に気持ちが良い。液晶解像度がフルHDなことだけが残念だが、144Hz&G-Syncという付加価値はゲームでは強い。特にMetro Exodusのようにフレームレートが低めで大きく変動するゲームであっても、ティアリングに悩まされないのは眼にも優しい。国内予想価格が約45万円と値は張るが、気楽に持ち運べるハイパワーPCが必要なゲーマー、そしてクリエイティブ系アプリを常用する人にオススメしたい一台といえる。