最後に主要部門外の上映作品を紹介。今年から、アメリカン航空の支援を受け、新たにアメリカ大陸の映画人にフォーカスした特集上映が組まれることになった。今年は一時期監督業からの引退を匂わせていたスティーブン・ソダーバーグを特集。特別招待作品ともなっている復帰作『ローガン・ラッキー』などを上映する。権利関係からか、『エリン・ブロコビッチ』『トラフィック』といった超代表作はプログラムに含まれていないが、初期の名作『セックスと嘘とビデオテープ』や『エージェント・マロリー』といった佳作を楽しめる。
「ミッドナイト・フィルム・フェス!」はハロウィン間近の週末である10月28日の夜に、多様なジャンルのオールナイト上映を6スクリーンで同時に行うというイベント。その中から2つの企画を取り上げてみた。
「ジョージ・A・ロメロ フォーエバーナイト ~ロメロよ今夜もありがとう~」は、先頃逝去したジョージ・A・ロメロの追悼企画。『マーティン』『ナイト・オブ・ザ・リビングデッド』『ゾンビ 米国劇場公開版』の3本を上映する。
そしてこちらは、「ミッドナイト・フィルム・フェス!」のプレイベント。「 マイケル・ジャクソン最新アルバム<スクリーム>リリース記念 ハロウィン限定プレミアム上映『マイケル・ジャクソン スリラー3D』+『マイケル・ジャクソン ゴースト』」だ。MJ伝説の作品が最新技術で3D化。96年に発表され、90年代の『スリラー』と評されたショートフィルム『マイケル・ジャクソン ゴースト』を同時上映する。本イベントは招待制となっているので、詳細はTIFFのオフィシャルサイトを参照頂きたい。
TIFFの30年を振り返る企画として開催される「Cinema Arena 30」は、六本木ヒルズアリーナを会場に、過去、TIFFで上映された作品をプロジェクション。全作品、無料で鑑賞できる。上映日時については、こちらもTIFFのオフィシャルサイトでご確認頂きたい。
『タイタニック』(C)Twentieth Century Fox Home Entertainment, Inc. All Rights Reserved. |
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かつては「有料試写会」などと揶揄された時期もあったTIFFだが、現在ではアジアを代表する映画祭にまで成長を遂げた。国際映画製作者連盟公認の映画祭として、そのポジションは確固たるものとなりつつある。TIFFは選りすぐりの映画を上映するだけでなく、しっかりマーケット(「TIFFCOM」)も開催されている。今年の「TIFFCOM」は会場面積が昨年対比130%、出展ブース面積も120%越えとなっており、過去最大規模を大幅に更新する運びとなった。惜しむらくは、会場が六本木でなく池袋であるというところだが、映画制作に携わる人々と観客とを結ぶという意味でも、今後は是非、上映会場近くでの開催を期待したい。
TIFFは良い意味で「幕の内弁当」的な映画祭だ。上映される作品も巨大スクリーンのあるシネコンでかかるようなものもあれば、シネフィルやシネアストを唸らせる渋いものまで多岐に亘っている。国内外の映画人、映画ファンが集い、交流する場所として、今後ますますの発展を期待したい。