「コンペティティブ」部門の「日本映画スプラッシュ」では、国内のインディペンデント映画の中から独創的でチャレンジ精神に溢れる作品9本をセレクト。関係者の話では、この部門、今年は豊作とのことだが、その中から、2本を紹介しよう。
『Of Love & Law』はある男性カップルの日常を追ったドキュメンタリー。カズとフミという弁護士を取材し、二人の法律事務所を訪れる「生き辛さ」を訴える人々の姿を捉えた作品だ。女性器を象った作品を発表したことで、わいせつ物頒布等の罪で逮捕されたろくでなし子の弁護も二人が務めている。今回のTIFFではLGBTQの人々を描いた作品のピックアップが目立つが、これは同時代性を強く意識させる。映画を通じてアンガージュマンを実践することもTIFFの役割の一つなのだ。
『ひかりの歌』は、光をテーマにした短歌コンテストで1,200首の中から選ばれた4首の短歌を原作に、4本のショートストーリーで構成された作品。監督の杉田協士は、青山真治、黒沢清らの助監督を務めていたことがあり、自身も立教大学卒という経歴の持ち主だ。遅れてきた立教ヌーヴェルヴァーグと言ったら良いのだろうか。五・七・五・七・七という短い詩形を拡張し、紡ぎあげた物語には世界を支える「光」が垣間見える。