「クローズアップ」部門からは「国際交流基金アジアセンター presents CROSSCUT ASIA #04 ネクスト! 東南アジア」の作品を2本紹介しよう。「CROSSCUT ASIA」は、国や監督、テーマなど様々な切り口で、アジアの現在を切り取った映画を紹介。今回は東南アジアの巨匠監督が推薦する若手監督の作品を特集する。
アピチャッポン・ウィーラセタクンが推薦する『4月の終わりに霧雨が降る』は、東北タイのイサーン地方を舞台に、失業して帰郷した男を描いた作品。オートフィクション的に現実と虚構が交錯するという組み立てで、撮ることと撮られることが反転するという関係はポストドラマ映画として昇華される。
トラン・アン・ユンが推薦する『大親父と、小親父と、その他の話』は、今世紀初頭のホーチミン市が舞台。写真を学ぶために田舎から出てきたヴーは、ルームメイトのタン、娼婦のヴァンと奇妙な三角関係に陥っていく。監督のファン・ダン・ジーは、新世代ベトナム映画の代表格。東京フィルメックスで紹介されそうな作品だが、こういう作家、ジャンルを渉猟するようなところまでTIFFはきているのだ。