Fire Phoneは成功するか
非常に興味深い端末ではあるものの、筆者の個人的感覚でいえば「ビジネス的には非常に厳しいのではないか」というのが率直な感想だ。個人的に動画や音楽などあまりコンテンツを消費しない人間というのもあるが、仮にiPhone新製品とFire Phoneを目の前に並べられて同じ購入条件を提示されれば、「少なくとも今後2年間は使っていける」という意味で間違いなくiPhoneを選ぶだろう。そういう安心感がいまのiPhoneにはあり、Amazon.comはすでにスタートラインで不利な立場にある。
Fire PhoneがAmazon.comの世界にどっぷりで、ある意味でiPhoneより閉じたプラットフォームであるという心配もある。おそらくはKindle Fireと同じくAndroid OSをカスタマイズしたシステムを用いていると思われるFire Phoneだが、アプリストアもAmazon.comが運営する独自のものを利用することになる。コンテンツも当然Amazon.comからの供給を受けるわけで、その意味の自由度はAndroidよりも少ない。すでにPrimeを含めヘビーユーザーを抱えるAmazon.comだが、既存ユーザーと新規ユーザー、どれだけFire Phoneの世界へと顧客を誘導できるか今年後半の動向が楽しみではある。
なお今回のFire Phone発表で気になるのはKindle Fireの行方だ。すでにPrimeユーザー向けの割引販売サービスなどを行っている同端末だが、端末の高機能化により少しずつ値段を上げる傾向がみてとれる。
一方で低価格タブレット「Nexus 7」で話題をさらったGoogleも低価格路線を捨て、少し高機能化した8インチタブレットを市場投入するという噂がある。理由はAmazon.comと同じ「端末を低価格販売してもコンテンツ購入の裾野は広がらなかった」という点にあると考えられ、Kindle Fireとともに値上がり傾向に転じる可能性がある。今年後半は、これら低価格端末の動向にも注目かもしれない。
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