消費電力比較(グラフ47)

先ほどのグラフ36と比較すると明確に異なった傾向であり、グラフ47でZ97の消費電力が低かったのはやはりGraphics Driverに起因する可能性が高いように思う。

それはともかく、おおむね同等といいつつも「強いて言えば」Z97の方が高めである。実際グラフのプロット分(243秒間)の平均値を求めると

  • Z87:229.7W
  • Z97:234.8W

ということで、5WほどZ97の方が消費電力が高めになっている。

まとめと考察

ということで、ASUS Z87-Deluxe/QuadとZ97-Deluxeを比較してみた。ラフにいってしまえば

  • チップセットとしてのZ87とZ97はおおむね同等のスペックで、これによる性能アップなどは(SATA ExpressとかM.2を使わない限り)まず期待できなそう。
  • マザーボードとしてのZ97-Deluxeは、特にCPUのオーバークロック特性がやや攻めた感じになっているが、あんまり結果に結びついていない。
  • 内蔵GPUのGraphics DriverはVersion 10になっていろいろ細工している可能性が高い。ただ、それがうまく性能に結びついているとはまだ言えない。

というあたりだろうか。

2項目目と3項目目は、まだ製品が出たばかりで十分に最適化が進んでないのが主要因かと思う。特に2項目目については、ASUSの製品担当者が「初期のBIOSは割と攻めた感じになっている」という話をしており、そう考えればつじつまがあう。今後は安定性を高める方向のチューニングが進んでゆくと、Z87-Deluxeと同様の消費電力プロファイルになりそうな感じだ。

話を戻すと、「ではIntel 9シリーズをどう評価するか」という話になるが、今回の結果を見る限り「SATA ExpressあるいはM.2のPCI Express接続版を使うのでない限り、Intel 9 シリーズに買い換えるメリットは無い」ということになる。

もちろんこれはすでにLGA1150プラットフォームを利用しているユーザー向けのメッセージであって、逆にこれからLGA1150のプラットフォームを手に入れよう、というユーザーであれば無理にIntel 8シリーズにこだわる必要はなさそうだ。特にZ87/H87マザーを検討しているのであれば、Z97/H97を選んだ方が賢いと思う(逆に値下がりするZ87/H87マザーを狙う、という策はあるかもしれないが)。

ちなみにSATA ExpressやM.2のPCI Express版に関しては、現状ノーコメントである。先行評価を行ったところからは、いろいろと相性問題があった的な話も聞いており、このあたりの安定性がさっぱりつかめないためだ。

今回のZ97-Deluxeの構成を見ても、ASMediaのSATAコントローラやらPCIe Switchやらがてんこ盛りで入っており、この環境で今後登場するSATA Express/M.2製品がちゃんと接続できるようになるまで若干の時間を要するのではないかという気がする。逆に言えば、今回プラットフォームが広く提供されたので、これにあわせてSSDメーカー各社の動作検証や修正が進むことを期待したい。

プロセッサに関しては何しろ今回評価していないから何とも言い様がないのだが、価格は既存のHaswellと同等で、もう少し動作周波数が上がる訳で、無理にHaswell世代でなくても良いだろうとは思う。

特にM/Bに関しては既存のZ87/H87が安値で出てくる可能性があるのでこれを狙う策はあるが、CPUに関してはこれは望み薄に思う。また省電力のS/Tモデルが結構追加されているので、こうした構成が良いユーザーにもHaswell Refreshは良い選択肢ではあると思う。

ということで、全体をまとめると「Minor Updateでした」ということになる。取りあえず飛びついても問題ない程度の完成度を(少なくともASUS Z97-Deluxeは)保っているが、既存のユーザーが飛びつくべきというほどの差は無いということだ。