『Fate/Zero』の映像制作を支えるufotableの新進気鋭スタッフを7つのカテゴリーから紹介。今回は「仕上げ」のお二人に話を聞きました。

はじめまして、松岡美佳さん・小宮ひかりさん

――まずは、自己紹介をお願いいたします
松岡:『Fate/Zero』で「仕上げ」を担当しています松岡美佳(写真左)です。2008年2月入社です。
小宮:同じく『Fate/Zero』で「仕上げ」を担当しています小宮ひかり(写真右)です。2010年4月入社です。

仕上げ:松岡美佳さん・小宮ひかりさん

――お二人は、ufotableに入って一番最初に担当したお仕事は何でしたか?
松岡:『入社した時が『劇場版「空の境界」』第三章の公開直前だったので、入社してそのまま第三章の仕上げ作業をしたのが一番最初の仕事でした。
小宮:私は『テイルズ オブ シンフォニア THE ANIMATION テセアラ編』と、それと同時並行で「アニメ文庫」の『みのりスクランブル!』の仕上げ作業でした。

――どういった経緯でufotableに入ることになったのですか?
松岡:私はアニメの専門学校に通っていまして、その当時『テイルズシリーズ』が大好きだったんです。その中でもufotableが制作したテイルズのOVAがすごく好きで「この会社に入りたいな」と思って先生に相談したら「ちょうど求人が来てるよ」と言われて、それで面接を受けて入りました。

小宮:私もアニメの専門学校に通っていまして、そこに来た求人票を見て応募しました。時期的には『劇場版「空の境界」』第七章が終わったぐらいの時ですね。タイトルは知っていたんですけど当時はまだ『空の境界』は見ていなくて、でも、ufotableの制作した作品を調べたら『劇場版「空の境界」』以外にも『テイルズシリーズ』なども制作していて、幅広いジャンルのアニメ作品をやっているんだな、と思ったんです。色んなアニメ作品に関わってみたいというのが私の夢だったので「ufotableに入れば色んな仕事ができそう!」と思って試験を受けて入社を決めました。

「仕上げ」とは「彩色」作業

――アニメにおける「仕上げ」というのは、具体的にどんな仕事なのでしょうか?
松岡:原画さんが描いた原画を元に動画さんが動画を描き、カットによっては1カット数十枚程度の作画用紙になった1カットが、カット袋に入って私達の所に届きます。そしてそれを1枚1枚スキャンしてPCに取り込みまして、1枚1枚の画の線をキレイに補正し、その後、その1枚1枚に色を付けていくというのが「仕上げ」と言われる仕事の一連の流れです。私たちは、「仕上げ」担当として入社して、ずっと一貫してこの仕事をしています。

小宮:仕上げというと色を塗る作業というイメージがあるかもしれませんが、画によってガタ付きや線が繋がっていなかったりするので、それを補正するのも私たちの作業工程になります。特に線がつながっていないと指定範囲以外も塗ってしまって設定通りの画にならないので、大事な作業の一つですね。

――エンディングクレジットを見ると、色という言葉が入った「色彩設計」「色指定」という役職がありますが、「仕上げ」とはどの様に違うのでしょうか?
松岡:「色彩設計」というのは、そのアニメにおいての「色の責任者」です。「色彩設計」さんがキャラクターの基本の色を作って決めたり、さらには作品全体の色味の方向性を決めます。そしてそれをベースに各カットの内容をチェックし、例えば「このカットのこのキャラはこのカラーモデルで」「この小物は○○番の色で」といった風に指示を出すのが「色指定」さんです。キャラクター以外の小物などの色は、色自体を色指定さんが決める事も多いですね。

小宮:その指定を元に具体的な塗り作業を行うのが「仕上げ」になります。そして完成したものがキャラセルとして撮影チームに廻っていくという流れになります。