二人の動画検査、ここにご注目

――それでは、 1stシーズン(1~13話)にて、ご自身のお仕事で「ここ頑張りました!」というものを教えて下さい
亀谷:私は第10話の「動画検査」が『Fate/Zero』での初動検だったのですが、学校の廊下を凛が正面からずっと歩いて来る最初の方のシーンを直すのに、数日ひたすらやっていました。枚数も多いカットでしたし、凛のツインテールは彼女のかわいさを表現する大事なポイントなので「髪の動きをキレイに出さなきゃ」と思いながら日々検査をやっていましたね。

鬼澤:第10話は演出さんもこだわってたしね。

亀谷:そうですね。演出が小笠原篤さんなんですが、小笠原さんの演出意図と違いがない様に動画検査する様に頑張りました。余談ですが、小笠原さん演出のこだわりで後から聞いて「なるほど」と思ったのが、後半で凛が走っているシーンです。凛が東西南北に向かって走っているシーンなんですが、走っている方向によって色が変わっているんですよ。あそこは是非気にしながら見直してみてほしいシーンです。

鬼澤:私は3・4・8・11話で動画検査を担当し、13話で動画検査補佐をしたのですが、初めて自分が動画検査として独り立ちをしたのが第3話だったので、個人的にかなり気合いを入れて挑んだ話数でした。3話は演出が監督補佐の恒松さんで、作画監督が須藤さん・碇谷さんのキャラデチームというすごい布陣の話数だったので、本当に緊張して、でも「頑張らねば」と思って挑みました。だから、動画的にはかなり隙のない作りになっていると思いますよ。

『Fate/Zero』2ndシーズン、いよいよフィナーレへ!

――では、いよいよ2ndシーズン放送もフィナーレへ向け動き出しましたが、現在放送された中で「ここ頑張りました!」という所はありますか?
鬼澤:私は第16話と第20話の「動画検査」を担当したのですが、どちらも大変ではありながらも楽しんで出来ました。16話の作画監督の白井さんは、動画検査にいろいろと任せてくれる方なんです。「ここの”なびき”よろしくね」とか「好きに作ってみていいよ」といったやりとりが結構あって、描いていて面白いです。当然、入ったばっかりの後輩の動画マンは出来なかったりするんですが、それを自分が教えることで、改めて勉強になる事も多いです。そして20話は同期の藤崎さんが各話の作画監督デビューした回だったので、同じ話数の作監の碇谷さんとは勿論ですが、藤崎さんともいろいろ話して、どうやってより良い映像にしていくかを進められたのは楽しかったです。

亀谷:私はセカンドシーズンでは、第14話と第18話の「動画検査」を担当しました、14話は龍之介がお亡くなりになったり、バーサーカーとアーチャーの激しい空中戦があったりと、ストーリー的にも注目度の高い話数だったので、特に龍之介の最後のシーンは入念に気合入れて検査しました。そして18話は切嗣の過去回前編という特別な話数だったので、初見のキャラクターめじろ押しだからこそ、動きに違和感を感じたりすると申し訳ないので、全体的に高いレベルの動きのある映像になる様に気を付けて検査しました。

先輩たちの背中をみて

――お二人が思うufotableの魅力は、どんな点でしょうか?
鬼澤:会社にいる人が、みんな個性的ではあるのですが、基本的にいい人ばかりな事です。あと、多分他の会社に比べて女性が多いのですが、女性が多いとその中で仲いいグループみたいなのが出来たりするのってあるじゃないですか。でもufotable内はそういうのが無くて、すごく居心地がいいんです。多分、そういうグループみたいなのが嫌いな人が集まっているんでしょうかね(笑)。

亀谷:あと、差し入れが多いのがすてきだなと思います。例えばクリスマスだと、ホールケーキを10個くらい「ドン!」と下さって「そんなに食べられるかな? でもすごくうれしい! ありがとうございます!」という事もあったりします。そういう雰囲気ってすごく良いなと思いますね。あと、お煎餅とかスナック菓子の様なものを、いつも先輩の原画さんが買って来てくださったりするのもうれしいです。

――そんなufotableの中で、お二人が近い未来(3年以内)に「こんな風になりたい」「こんな仕事がしてみたい」というものはありますか?
鬼澤:まずはちゃんと「原画」をやりたいですね。社内の原画さんで木村さんという方がいらっしゃるんですが、木村さんの仕事の進め方に憧れます。木村さんは「ちゃんと早い時間に会社に来て、ちゃんと家に帰る。でもすごいカット数をあげる」みたいな感じの仕事のされ方なんです。原画さんって、例えば「14話に入ったらちょっと間を置いて、次は16話か17話に入る」みたいな事が多いんですけど、木村さんはうまくて速いから、かなりの話数に入っているんですよ。しかも、「テイルズ」からも監督直々にカットの指定まで入ったご指名があるから作業を並行するという、恐ろしいスキルの持ち主です。

亀谷:私はまだufotableに入って日が浅いので、今は色んな動画に関わって勉強したい気持ちが強く、暫くは動画検査を続けていきたいです。そんな中でも「このカットは私がやった!」と思える仕事をいつかしてみたいと思います。キャラクターの振り向き方、髪のなびきとか、そういった動きを追究していく中で自分の個性を出して、それが各話のスタッフさんや視聴者の方に受け入れられたらうれしいですね。前の会社での師匠が、動画一本でずっとやってみえた方だったので、そういう道の極め方もあるんだなと思いながら、今は日々精進しています。

――さらなるご活躍を期待しております! 本日はありがとうございました!