『Fate/Zero』の映像制作を支えるufotableの新進気鋭スタッフを7つのカテゴリーから紹介。今回は「原画」のお二人に話を聞きました。
はじめまして、藤崎静香さん・山崎美紀さん
――まずは、自己紹介をお願いいたします
藤崎:『Fate/Zero』で原画を担当しています藤崎静香(写真左)です。2009年4月入社です。
山崎:同じく『Fate/Zero』で原画を担当している山崎美紀(写真右)です。2009年4月入社で、藤崎さんと同期入社になります。
演出:藤崎静香さん・山崎美紀さん |
――お二人はアニメの専門学校に通われていたとの事ですが、ufotableへはどの様なきっかけで入社されたのですか?
藤崎:就職活動の時期にどの会社を受けようか悩んでいた際、同じくアニメ業界を志望していた友達に「一緒にufotableの試験受けない?」と誘われたんです。実はそれまでufotableの存在を知らなかったんですが、調べてみたら自分の好きな作品を作っている会社だったので試験を受ける事にしました。
山崎:私は専門学生時代に友達とufotableに会社見学に来たことがありまして、その時に感じた雰囲気がとても良かったので、入社試験を受けさせていただいて合格し、今に至るという感じですね。
――お二人が受けられた試験というのは、どんな内容のものだったのでしょうか?
藤崎:会議室の様な部屋の机に紙が何枚か用意されていて「時間制限内に何枚でもいいからレイアウトを描きなさい」って試験だったよね?
山崎:そうそう。お題が「日常芝居系」「アクション系」の2種類あって、どちらかを選んで描く試験でした。私は日常系を選んで描きました。
藤崎:私はアクション系。懐かしいな~。
「原画」のお仕事はあなたの身近な所にも
――お二人は、ufotableに入って一番最初に担当したお仕事は何でしたか?
山崎:私は2009年8月に公開された『劇場版「空の境界」』第七章の動画でした。
藤崎:私はOVAの『テイルズ オブ シンフォニア THE ANIMATION テセアラ編』の動画でした。
山崎:ufotable社内では、動画から原画を描く様になるのに試験がありまして、その試験に合格すると原画を描ける様になります。
――非常に初歩的な質問で恐縮ですが、「動画」と「原画」はお仕事内容としてどう違うんでしょうか?
藤崎:「原画」はキャラクターの動きのキーポイントとなる部分の画を描く仕事です。そして、その原画と原画の間の動きとなる画を描くのが「動画」です。わかりやすく例えると、パラパラ漫画の最初の最後を描くのが「原画」で、間の動きを描くのが「動画」という感じでしょうか。カットによっては動きの途中途中も原画を描いて、その原画を手掛かりに動画を描いて動かしていくという工程です。
山崎:「このカットの原画は誰が描く」というのは、基本的にはその話数の作画監督さん・演出さん・制作進行さんが各原画マンの得意な分野(日常芝居がうまい・アクションがうまい 等)を考えつつ、同時に動いている他話数の原画作業のスケジュールの兼ね合いを見ながら割り振ってくれる事が多いのですが、今まさに『Fate/Zero』では、社内で「私このカットやりたい!」みたいに取り合いになる事もあります。みんな各キャラに愛着が湧いているんですよね(笑)。
藤崎:あと、原画マンのその他の仕事として、「版権」と言われる、アニメ雑誌さんやグッズ用のイラストを描く事もあります。
――お二人が描かれた版権で「これ私描きました!」という代表作はありますか?
藤崎:私は、「コンプエース」2011年6月号用に描いた、目を瞑(つぶ)って剣を持っているセイバーのイラストです。『Fate/Zero』で自分が描いた初めての版権だったので、かなり緊張しながら描きました。そしてその後どんどんいろいろなグッズに使用されていて、とてもうれしいのですが、こんなに使われると思っていなかったのでビックリしました(笑)。
山崎:私は最近だと、「アニメディア」2012年2月号のアイリ・イリヤ・セイバーの3人がチョコを持っているバレンタインイラストや、「電撃G’sマガジン」2012年2月号の、アイリとセイバーがアーケード街で買い物をしているクリスマスのイラストなどですね。版権は本編じゃ絶対ないような表情やシチュエーションを描ける事も多いので楽しいですよ。
藤崎:アニメと違って動きのない1枚の画で魅せないといけないので、しっかり描きこまなきゃいけない分、作業としては実は大変だったりもします。でも、「こう描いたらファンの人が喜んでくれるかな」と考えながら、緊張しつつ頑張って描いています。