スマートフォン向けの2.xでは「戻る」「ホーム」「メニュー」といった動作は端末上の物理的なボタンとして実装が行われているのに対し、一方の3.x系のHoneycombでは画面上に表示されたソフトウェアボタンをタッチして操作を行うというスタイルを採っている。1つのOSでスマートフォン向けのUIとタブレット向けのUIを同時にサポートするだけでなく、Ice Cream Sandwichではこうした端末設計に関する部分も統一され、スマートフォンにおいてもHoneycombに近いソフトウェア的な操作方法に寄っていくのではないかというのが筆者の予想だ。Ice Cream Sandwichにおいては、スクリーンサイズによってUIをスマートフォン向けあるいはタブレット向けにスイッチする実装が行われるのではないかと考えている。
ここでAndroidのバージョンについて注目したいのは、2.x系と3.x系でどのようなマイナーバージョンのアップデートが行われているのかという点だ。前述のように、Honeycombの目的の1つは「タブレット向けUI」の確立にある。それにも関わらず、USBサポートや外部キーボード/マウスの接続、Open Accessory APIの提供など、今年5月のGoogle I/OでプレビューされたAndroid 3.1では、数々の根本的機能拡張が行われている。その一方で、Android 3.1におけるこうした機能拡張は、スマートフォン向けである2.x系でもAndroid 2.3.4としてリリースされており、フィードバックが行われていることがわかる。
以前、Honeycombのdpi情報を操作するとAndroid 2.3.x "Gingerbread"のUIが出現するという話題があったが、Androidのコア機能を2.x系統として開発する一方で、それに被せるUIを別途3.xとしてリリースし続けているのではないかというのが筆者の考えだ。最終的には、大画面UIがある程度こなれた段階で「HoneycombをIce Cream Sandwichとしてリリース」すれば、2.x向けアプリと3.x向けアプリの両方を同時にサポートできるからだ。
2.xから3.x、そしてIce Cream Sandwichの4.xへと続く導線は、API Levelの設定からも想像できる。Androidでは下記のような対応でバージョンごとにAPI Levelが設定されており、基本的にAPI Levelが高いほどプラットフォーム的には上位互換をもつことになる。Googleによれば、API Levelが上昇しても旧バージョンのAPIは削除されずにそのままサポートされるため、アプリの互換性を維持し続けられるというのがその説明だ。Android 2.3.4のように3.1の新機能がサポートされたバージョンがあるにも関わらず、それ以前のバージョンの3.0.xよりAPI Levelの低い10に設定が行われている。