新聞などを切り抜きながら、それを整理整頓することで知的生産活動を高めていく手法を"クリッピング"と呼ぶ。これら手法はアナログな世界では長い間利用されてきた方法で、それだけ信頼度も高いソリューションの一つであるといえる。前回、記したようにデジタル世界にこれを当てはめるとインターネットに接続された画面をキャプチャすることが、デジタル版のクリッピングということになる。

Webの世界の情報は限りなく広がっている。貴重な情報や資料から役に立たない無駄な情報と玉石混交である。本気でスクリーンキャプチャを情報収集や業務の中に取り入れるとなると、それなりのツールが必要になってきている。キャプチャする回数も増えるだろうし、それをきれいな形に加工・編集するニーズも出てくるし、また一般のファイル管理と同様に大量の素材は整理整頓することで活用の幅が広がるというものだ。



Mac版も新たにラインナップに加わった

前回も紹介したが、Snagitというキャプチャを専門とするソフトウェアがある。基本の画面キャプチャ手法だけでも数十通りを備え、まるで一眼レフデジタルカメラのように画面の瞬間を逃さず保存できる同ソフトは、高度な編集機能も数多く搭載する。また保存した大量の画像ファイルをサムネイル表示、タグ付けなどによる管理機能も数多く備えている。

ExcelやWordなどの業務ソフトウェアからメールやWebサービスとも少ないクリックでスムーズに連携するなど海外を中心に幅広く利用されている。先日Mac版も発売されており、Webサイト制作や誌面、マニュアル作成などでMacを利用しているユーザーなどにもお勧めできる。大量の画面取得が必要な場合では特に活きる機能が多い。今回からはSnagitに焦点を絞ったスクリーンキャプチャ術をお届けしよう。テックスミスでは、Win/Mac双方の体験版も公開している。

Snagitの「オールインワンキャプチャ」機能

通常、画面のキャプチャをとる場合は[PrintScreen]でデスクトップ画面、[Alt]+[PrintScreen]で部分ウィンドウ画面がクリップボードにコピーされる。これをペイントソフトなどにペーストして利用するのが、専用のソフトウェアを使わない場合のスクリーンキャプチャの方法だ。本当に必要な時だけ1回だけ、というのであれば、これで目的は達成されるかもしれない。

だがあらゆる方法に最善の策を求めるのが効率化の基本。スクリーンキャプチャソフト「Snagit」を利用する場合、デフォルト設定では[PrintScreen]をクリックするとオレンジ色の十字カーソルが表示される(図2)。カーソルの周りには拡大鏡と対象ウィンドウの縦横のサイズが常時表示され、このカーソルをキャプチャしたい対象にマウスオンするだけで対象の枠を自動的に補足してくれる。あとはマウスをクリックするだけでスクリーンキャプチャすることができる。その後は即座に編集機能が起動するという具合。

図2 Snagitのオールインワンキャプチャでデスクトップ全体を選択

Snagitでは、この機能を「オールインワン」と呼んでいるのだが、実に軽快に動作する。複数に重なるウィンドウであってもマウスを動かすだけで、的確に目的のウィンドウを選び出し、クリック一回でキャプチャから編集機能の呼び出しまでを行う。高解像度のモニタを使って複数の作業を同時進行しているような場合などでも、毎回のキャプチャ工程が段違いに素早く行える。(図3)

図3 Snagitのオールインワンキャプチャでブラウザのウィンドウ選択

ウィンドウ以外にも、任意の範囲を指定する部分選択キャプチャ(図4)や非表示スペースを自動的にキャプチャするスクロールキャプチャ(図5)、なども搭載している。

図4 Snagitの部分選択キャプチャ

図5 Snagitのスクロールキャプチャ

キャプチャ終了後、自動的に呼び出される「Snagitエディタ」(図6)では、その場でキャプチャした画像を確認、すぐに加工へと工程を進められる。Snagitエディタだけでなく、ExcelやWordなどのアプリケーションやMailソフトへも同様にデータを送ることができる。このあたりの操作性の良さもフリーソフトにはない使い勝手の良さだ。

図6 Snagitエディタ

スクロールキャプチャ機能

Webサイトをキャプチャする場合に便利な機能の一つがこの「スクロールキャプチャ」機能。この機能は、ブラウザのスクロールバーを利用しないと見ることできないような非表示エリアをスクロールバーを触ること無くキャプチャできる。スクロールキャプチャを使うには、通常と同じように[PrintScreen]キーを押して、カーソルでウィンドウを選択する。するとウィンドウの左と下に矢印マークが表示される(図7)。

図7 ブラウザの非表示部分でもキャプチャ時に表示される矢印をクリックすると...

矢印マークをクリックすると自動的に下までスクロールしてキャプチャが完了する(図8)。

図8 自動的にスクロールして画面をキャプチャ

この機能は、タスクマネージャのようなWindowsの部分やExcelやWordなどのアプリケーションでも同様に利用できる(図9)。縦に長いデータや横に長いデータ。たとえばExcelで数百から数千の行や列がある場合などに、これを画像化するには圧倒的な違いが出る。Snagitは、勝手にアプリケーションをスクロールしながら自動的にキャプチャ画像として保存してくれる。

図9 タスクマネージャをスクロールキャプチャ