Phyziosブース~iPhoneで彫刻「Jazz Sculptor」や描ける物理「Phyzios Studio」を展示

業務用シミュレーションソフトウェアなどを開発していたプロメテックソフトウェア社は、「鉄拳6」に水面の波動シミュレーションエンジンを提供するなど、近年はゲーム部門への進出を果たしてきたが、2009年1月、このゲーム部門がPhyzios(フィジオス)社として独立を果たす。SIGGRAPH ASIA 2009の展示セクションでは、このPhyzios社がブースを構え、現在リリース中、及びリリース予定の製品群を展示していた。

Phyziosブース

現在の同社のイチオシ製品は、「Phyzios Studio」だという。

これはまさに「物理を描く」といった感じのソフトウェアで、画面に描く操作感は普通のペイントソフトと同じだが、その描いたものに素材(材質)を与えられるのが最大の特徴。

描かれたその材質は、その材質らしい物理法則が働いて動き出すのである。

だから例えば、石を描けば転がり出すし、粘着質の素材で描けばベトベトとしてくっつく。水ならば流れるし、流れた先が閉じていればそこに水が溜まり出す。火を描けば可燃性のものを燃やし始める。

さらに、高度なビジュアルプログラミングに対応しているので、動かせるキャラクタを設定したり、これと衝突を取ったり、ゴールを作ってクリア条件を設定したり……といったゲーム仕立てにすることも可能。

PS3に「Little Big Planet」という、ユーザーがパーツを組み合わせてゲームプレイステージを作れるユニークな作品が存在したが、ビジュアルテイストは違うものの、Phyzios Studioはアレにイメージが近い。ゲーム仕立てに制作したサンプルデモは動画が公開されているので興味がある人はこちらを見ていただきたい。

触ると動き出すインタラクティブなデジタル絵画を描くことができる

ゲームライクに仕立てることも可能

動画
iPhoneアプリ版の操作感はこんな感じ

ベースとなっている技術はプロメテックソフトウェア時代に開発されたリアルタイムアプリケーション向けの物理シミュレーションミドルウェア「Octave Engine」を2D化した「Octave Engine Casual」だ。

動作条件はOpenGL2.1対応GPUが搭載されたPCで、マイクロソフトの.Net Frameworkがインストール済みのInternet Explorer環境下か、Mac OS X 10.5以上のSafari環境下を奨励。意外にも動作奨励環境は低めに設定されているのでノートPCでも十分に楽しめる。

現在はβ版が無料公開中で、製品版は「近日リリース」として予告されている。なお、2009年6月にはiPhoneアプリ版も公開されている。

Phyzios StudioはノートPCでも動作が可能。写真はMacBookで動作中の様子

もう一つ、展示で注目を集めていたのは、iPhoneアプリの「Jazz Sculptor」。こちらはiPhoneのマルチタッチインタフェースを駆使して、画面の中の立体物を彫刻していけるというユニークなアプリケーション。

直方体の木の柱はもちろん、球状の果物を掘ることもできる。木材ならば掘り出したところからちゃんと木目が出てくるし、スイカならば表層が白い皮の部分で中に掘り進むと赤い実の部分が出てくる。そう、極座標系に対応した多層構造にも対応しているのだ。

彫る操作は実に直観的。スライドで対象物を回し、画面に出ている箇所をシコシコとこするとその部分が彫刻刀をあてがっているように彫れていく。こちらも現在は無料提供中で、作品展も開催中だ。将来的には有料版を提供する予定でおり、有料版では彫刻刀に多彩なバリエーションが追加されたり、より多彩な素材が提供されるのだとか。

カボチャをくりぬいた怪物の頭。ハロウィンの定番

木材で彫ったトナカイ。ユーザーの作例

スイカで彫った謎の生物。スイカのみを口の中、白い皮を腹に見立てている部分がお見事。こちらもユーザーの作例

動画
木材の直方体を彫刻している様子

動画
極座標系のスイカを彫刻している様子
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