結論

さて結論であるが、非常に面白いポジションで製品を投入してきたな、というのが筆者の感想である。まずデスクトップ向け用途としては、Lynnfieldは以前までのNehalemと「全く同等の性能」を発揮する、と言って差し支えないと思う。Nehalemを下回ることもないし、上回ることもない。その意味ではCore i7-920とCore i7-860、Core i7-950とCore i7-870が全く同じ価格を付けてきたのは非常に正しい判断である。ただCore i7-920/860はともかく、Core i7-950/870はデスクトップ用としてはかなり高価であり、一般的な選択肢には入りにくい。

微妙なのはCore i5-750である。20,000円を切るという価格付けで、しかもかなり性能が良い(しばしばCore i7-920と同等)なのはかなり魅力的である。おそらくこのCore i5-750はAMDのPhenom II X4のシェアを切り崩すべく、敢えて利幅を大幅に薄く設定しているのだと考えられる。ただここまで下げると、そろそろCore 2 Duoの上位モデルと価格的にぶつかる事になる。勿論早くCore i5にマーケットを移行させるという観点では好ましいのだろうが、安定したラインで確実に利益が取れるCore 2 Duoを、利幅が超薄くなりそうなCore i5に誘導するのは、売り上げという観点から考えるとかなり疑問が残るところ。おそらくIntelとしては早めにこのラインを(より安価にできそうな)Clarkdaleで置き換えたいのだろうが、果たして上手くいくかどうか。

勿論エンドユーザーにとっては、CPUもそれなりに安価だし、マザーボードもLGA1366より安めに入手できそうな訳で、しかも性能が悪くないとあれば言うことはないだろう。ただ筆者にはどうも無理がある価格付けに見えるわけで、そう遠くない将来にIntelは何らかの方針変更を迫られそうな気がしてならない。そのあたりに一抹の不安を覚える、とだけは書いておきたい。