最後に64bit環境での結果をグラフ14に示す。64bitはRAID 0のみで、またメモリ構成もDDR3-1067×3(Core 2はDDR3-1333×2)に留めている。流石に全CPUをテストする余力はなかったので、Core i7-965とCore 2 QX9770のみに限って、32bit/64bitの結果をまとめてみた。
さて傾向をみるとちょっと面白い。テストによって32bitが高速なもの、64bitが高速なものがはっきり分かれる事になっている。HDDのスコアが低めなのは、IntelのRAIDドライバが64bitでそれほど高速でないことを示しており、これは殆どのテスト結果に影響を及ぼしている筈だが、にもかかわらず64bitのテストの方が高速なものがあるのは、HDDの性能があまりテストに関係せず、かつ64bitで性能が伸びている事を示す。
ただここでの比較は32bit vs 64bitなのではなく、32bit→64bitでCore 2とCore i7の性能差の出方が変わるかどうか、である。以前も記事にしたが、Core 2の64bitサポートは「とりあえず命令は完全にサポートしました」というレベルで、最適化に関しては色々制限が多かった。このあたり、Core i7ではだいぶ改良が施されている。特に現状64bit OSが使われているのはサーバとか科学技術計算など、デスクトップというよりはサーバ向けが多く、Core i7はまさしくそういうターゲットを志向しているだけに、性能の伸びが大きくても不思議ではない(というか、そうした事が期待されている)わけだ。
そういう観点でみると、「そんなに変わらないなぁ」というのが正直な印象だ。テスト結果でみると、CommunicationではHyper-Threading有効/無効の両方でCore i7の32bit→64bitの伸びが大きいが、Core 2ではそれほどではない傾向が見られるが、その他のテストはたいして変わらないレベル。
ではそのCommunicationでは? というのがグラフ15であるが、Communication 1ではCore 2もCore i7も伸びが変わらず、明確に差があるのはCommunication 3のみである。で、Communication 3が何かというと、Windows Mailのサーチのみの単体テストである。なんというか、単にCore i7の方がメモリ搭載量が多い(3GB。Core 2は2GB)分、より多くのメールを取り込んで検索できたというだけではないか? と感じさせる結果であった。
総じて、64bitに関してのアーキテクチャ的なアドバンテージは、PCMark Vantageからは見出すのが難しいという結論になるだろう。