荷物は積めないと考えよう
スピードトリプルの走りについては納得できたが、最後まで引っかかったのはユーティリティの面だった。
荷物を積むのはまず不可能。荷掛けヒモを引っかけるピンがないのはもちろん、リヤステップのガードを利用しようとしても、マフラーとの隙間が狭く、大きめのプラスチックのフックは通らない。シートカウルごと巻き付けるようにゴムひもを掛けたら、腕がマフラーに触れてしまった。
シート下の収納スペースもたいしたものではない。バッテリーが横倒しになって置かれ、その後方に若干のスペースはあるが、工具を入れればいっぱいだろう。ヘルメットホルダーも装備しない。荷物を運ぶならタンクバッグかシートバッグを用意するか、ライダーが背負うしかなさそうだ。
シートは大きめで座り心地はいい。むしろハマり込むぐらいに収まりはいい。しかしバックスキン風のシートはとても汚れやすい。同行したカメラマンも試乗したのだが、地面に座り込んで撮影していたために、尻の汚れがそのままシートに残ってしまった。乗る際には尻を十分に叩いてからにしよう。
メーターはアナログ式のタコメーターとデジタル表示のスピードメーターのコンビネーション。その左に時計やトリップ、燃費などの多機能メーターが置かれている。白地のタコメーターは見やすいのだが、スピードメーターは見づらかった。また、メーターの右側にはシフトインジケーター(ギヤチェンジライト)が付いているのだが、これがいつもピカピカと光って目ざわり。ゼロヨンでもやるのなら便利かもしれないが、実走行では不要だし、むしろこれを見ているのは危険だと思う。
フロントウインカーはラジエターから生えている。すり抜けするとぶつけそうで気になった。ハンドルかメーター近くに移植するのがよさそうだ。
試乗車にはアクセサリーのミニカウル(フライスクリーン)が付いていたが、風防効果はほとんど感じられなかった。エンジン下のアンダーカウル(ベリーパン)も、トランポに積む際には取り外さないとならない。走行中に擦るようなことはないが、段差を乗り越えるときには気をつけたほうがよさそうだ。
二人乗りも試してみたが、リヤシートは少々恐い。というのも、リヤがスパッと切り落とされているため、心理的に後ろに落ちそうな気がする。乗り心地自体は悪くなかった。