ニコン純正の「AF-S VR 18-200mm F3.5-5.6G」は、今回試用した中ではもっとも高価なレンズで、実売は約9万円程度。しかし超音波モーターを内蔵していたり、シャッター速度4段分の手ブレ補正機能など、価格相応のポテンシャルは持っている。手ブレ補正機能はニコンのほかの手ブレ補正レンズと同じく、NORMALとACTIVEを備え、撮影者がクルマに乗って揺れるような状態にも対応できる。ズームリングのロック機構はなく、レンズを下向きにすると自重でレンズが伸びてしまうのが気になった。また、ズームリング回転中に構造によるものと思われるひっかかる部分があるようだ。フィルター径はシグマと同じ72mmだが、レンズフードが非常に大きい。もちろんハレーションを抑えるには大きなフードのほうが有効だが、フードの幅がレンズより大きいため、さかさにレンズに装着してもレンズ単体よりはるかに大きな収納スペースを必要とするため、カメラバッグなどに入れる場合にもフードは外した状態にしておいたほうがよさそうだ。

AF-S VR 18-200mm F3.5-5.6G+D80

テレ端時

ワイド端時

今回テストにはD80を使用したが、純正レンズということもあり、コントラストが非常に高くクリアなのだが、そのぶん色収差が目立つ原因となっているようだ。外側にはマゼンタとシアンの収差が見えるが、色の境が非常にくっきりとしているのが気になる。むしろなめらかにグラデーションになっていたほうがまだ気にならないだろう。内側にもくっきりとしたグリーンの色収差が発生してしまっている。こちらも色の境界線がはっきりとしている。

今回比較した中で、テレ端の開放F値はこのレンズが最も低くてF5.6とほかのレンズに比べてやや明るい。また、手ブレ補正機能も最新のVR2を搭載し、シャッター速度で4段分と優秀だ。なにより、「純正である」という安心感は大きな魅力といえる。ただし、機能はすぐれているが難点はやはり値段だ。原稿執筆時点では、先に紹介したシグマと比べるとその価格差は2万円程度で、今後その差はさらに開いていくと予想される。価格差を許容できるなら、最新の手ブレ補正機能と純正の安心感を買うという選択肢もアリだ。

(A)ハレーションテスト:AF-S VR 18-200mm F3.5-5.6G
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(B)色収差テスト:AF-S VR 18-200mm F3.5-5.6G

(B)色収差テスト(拡大):AF-S VR 18-200mm F3.5-5.6G

(C)歪曲テスト:AF-S VR 18-200mm F3.5-5.6G
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作例 ニコンD200+AF-S DX VR 18-200mm F3.5-5.6G
L+Fine(JPEG)
26mm(39mm相当)
ISO100
プログラムAE(F11.0、1.00秒)
分割測光
WB:AUTO
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作例 ニコンD200+AF-S DX VR 18-200mm F3.5-5.6G
L+Fine(JPEG)
60mm(90mm相当)
ISO
プログラムAE(F14.0、1/80秒)
分割測光
WB:AUTO
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作例 ニコンD200+AF-S DX VR 18-200mm F3.5-5.6G
L+Fine(JPEG)
36mm(54mm相当)
ISO100
プログラムAE(F9.0、1.00秒)
分割測光
WB:AUTO
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