これまで、Linuxでゲームを作成している者にとっては大きな悩みがあった。
ゲームを開発したとして、それで遊んでくれる人はいるのかという、シンプルかつ重大な悩みである。
プログラマとして楽しいのでLinuxを使ってゲームを作る、そこまでは良い。
問題は、制作物を見てもらう側にもLinux環境を強要することにある。Linuxを自分のPCに入れている人というのはやっぱり少ないものだ。Linuxユーザー同士であっても、多彩なディストリビューション群やライブラリなど、ささいな環境の違いが障害となって同一アプリケーションであってもすんなり動作しない場合もある。
もちろん、有能な技術者であればソースコードを入手して適正な処置を施した上で問題なく動作させられるのだが、それを全員に望むのは難しかった。
だが、そこであきらめてはいない。
Linuxは再配布自由じゃないか、じゃあ「OS環境ごと配布してしまおう」。そんな強引なことができるのもLinuxならでは。
最初はアプリケーションが動作する環境が構築済みのディストリビューション作成から始まる。やがて、インストールする手間もなしでCDから起動するCDブートLinuxが提唱され徐々に定着していくことになる。
CDブートLinuxは当初、ユーザーごとに違うマシン環境でのドライバ選定という部分が難しく、なかなか軌道には乗らなかった。だが、この辺りを最もスマートに実装したKNOPPIXが登場することで一気に実用レベルとなり、CDブートLinuxは1つの手法として確立することになる。
昨今ではVMwareのような仮想マシン環境も身近となり、「OSごと配布」は強引な手法でもなく、ますます利用しやすくなってきている。