すでに各所で語られている通り、PS3ではLinuxが起動し動作している。現在はLinuxが動作していることそのものに喜び驚いているところではあるが、当然のごとく次のステップとして大きな命題が立ちふさがっている。

「Linuxで何をしたら良いのよ?」

普通にPS3をデスクトップLinuxとしてPCライクに使っても面白味はほとんどないといっても良いだろう。「PCのように使える」というのは、実はPCを置き換えるほどの威力を持っていないため言えることでもある。

しかし少し考えてみてほしい。

家庭用ゲーム機上でLinuxが走っていて、その環境内であれば自由にプログラミングを楽しんで良いというお墨付きを得られたことになる。これは結構すごいことなのではないだろうか。家庭用ゲーム機がプログラミングできるホビーコンピュータとなりうるなんて、「ファミリーベーシック」や「SG-1000」以来のことなのではないか(「GAME BASIC for SEGASATURN」なんてのもあったが)。

これまでの家庭用ゲーム機の世界は、ゲーム業界からの一方的なコンテンツ供給体制で固められており、ユーザー側でのコンテンツ作成は基本的にシャットアウトされてきた。最近はゲーム機にメモリスロットが付いたり、ネットワーク経由でデータ共有ができたりと、ずいぶんとユーザーコンテンツを受け入れるようになってきている。

そこに来て今度は自由にプログラミングができるようになったのだ。これは大きなチャンスといえないだろうか。

PS3Linuxではグラフィックアクセラレータが封じられており、3D CGを駆使したゲームを作ることは非常に困難である。

しかし、制限はそれだけなのである。それ以外はおおよそ利用することが可能だ。何も3D CGを使いまくったものだけがゲームというわけではあるまい。2Dゲームでも面白いものは作れるし、ゲームではなくても人々をあっと言わせるものはいくらでも作れるだろう。

まさにこういった場面こそクリエーターの腕の見せ所ではないだろうか?

そこで本稿では、PS3を従来の家庭用ゲーム機だけではなく、アマチュア作成コンテンツの再生機器としても利用することを提唱したい。そして、そのコンテンツを自由に作成し、実行できる場として利用できるのがLinux環境なのである。