もう1つのUnionFSは少々説明がややこしくなるが、複数のディレクトリを重ねていってあたかも1つのディレクトリとして見えるようにするためのファイルシステムである。
CD-ROMなどリードオンリーのファイルシステムの上に、USBメモリカードのような書き込みが行えるファイルシステムを重ねることで、シナリオデータはリードオンリーのROMから読み込み、セーブデータは書き込み可能なUSBメモリに記録といったことが実現できる。
そういった特色からUnionFSはCDブートLinuxではよく使われるファイルシステムとなっている。
たとえばONScripter pack CDでは、CDにあるシナリオを使うか、USBメモリにあるシナリオを使うかといった選択や、セーブをどこにするかといった選択のためにUnionFSを利用している。
また、フォントファイルであるdefault.ttfなどは、ONScripter pack CDの場合は「Ume Gothic」のファイルを用意してあり、標準ではそれが使用される。もし他のフォントを利用したい場合は、シナリオとともにdefault.ttfというファイル名で置いておけばUnionFSの特色として後からかぶせたもの勝ちになるため、上書きで希望のフォントに変更できる。
カーネルの改良はここまでだ。次に、Linuxシステム側で用意しなければならない要素について解説する。