もちろん問題も多い。先述した国内作品のレベルもさることながら、海賊版DVDや違法キャラクターグッズを昨年同様、会場のあちこちで見かけることができた。公式にはこのような商品は販売させないことになっているが、現場レベルでの取り締まりが徹底されておらず、完全撲滅の難しさを物語っている。
海賊版DVDの多くは1枚5元から10元程度(日本円で70円から140円)で売られており、コミックスの正規版を買うより安い。そして、この海賊版や違法ダウンロードについては、皮肉なことに中国における日本アニメ人気を支える土台となっており、ファンにとっては事実上メディアの一部になってしまっている。日本の権利関係者には頭の痛い問題である。
このように中国のアニメ産業は、新旧のアニメトレンドが渾然一体となり、混沌とした状況にある。外資規制も厳しく、日本企業が商機を見出すのは至難の業といっていい。
しかし、レポートしたように、中国で日本のアニメが人気を博して強い影響力を持っていることは事実だし、制作レベルも確実に向上していることは明らかである。単に日本で放送された作品を中国で放送するのが難しい現在、合作や原作提供など新しいビジネスモデルを考案していくことが突破口になっていくかもしれない。