では今後、中国のアニメ産業はどう動くのか。今回のアニメフェスティバルの会場でもその徴候がいくつかうかがえた。
1つは携帯電話で見る短編アニメである。最近「手機動漫(携帯アニメ)」という言葉を中国のアニメ関連サイトで必ず見つけることができるが、会場でもこの言葉をあちこちで見かけることができた。キャリア最大手のチャイナモバイルが大きくブースを出して盛んにPRしていたほか、アワードにあたる「美猴奨」でもテレビや劇場用アニメと並んで、Flash部門が設けられており、中国ではすでにアニメの1ジャンルとして認知されていることがうかがえる。現在はまだ2.5Gの環境であるため、動きもぎこちないが、来年は3Gがいよいよ始まることが予測され、大きな動きがあると思われる。
美猴奨の個人部門でも、学生の優秀作品のレベルは日本のプロをしてうならせるものがあった。将来、彼らが商業作品の世界に入ってきたとき、その資質をいかんなく発揮させることができる環境が整えば、日本の市場でも通用する作品が生まれるかもしれない。
そして、内外のアニメ関係者を招いて開催されたフォーラムのメインテーマは、「いかに中国オリジナルの作品を作るか」であったが、この中で日本のアニメ産業におけるマンガの貢献度の大きさが改めてクローズアップされた。今後、中国の政策当局が一足飛びにアニメ産業育成に走らず、マンガ作家の育成に力の一部を向けるようになれば、表現の自由の制限はあるものの、長期的に見て中国のアニメ産業にはプラスに働くであろう。