ここ最近、食品や医薬品などで中国産のニセモノ商品の話題がマスコミの紙面を賑わせ、改めて中国におけるこの問題の深刻さがクローズアップされている。
中でも典型的なのは、アニメや実写映画などの海賊版DVDソフトやニセモノキャラクターグッズの問題であろう。首都北京にある国営石景山遊楽園におけるディズニーキャラクターのあからさまな模倣が、ウォルト・ディズニー側の告発により急遽撤去されたというニュースは記憶に新しいし、日本のコンテンツ海外流通促進機構(CODA)の最近の発表では、2005年1月から2007年4月までの間に、同機構が中国の現地政府取締機関と共同で押収した海賊版DVDは約232万に達したとしている。まさに中国はニセモノや海賊版の天国というのが、アニメやキャラクターグッズ業界の一致した見解である。
しかし、その一方で中国政府がアニメを今後の基幹産業の一つとして取り上げ、国産のオリジナルアニメの政策強化を打ち出し、国家として手厚い支援策を打ち出しているのも事実である。そこで、今年4月28日から5月4日まで、浙江省の杭州で開催された第3回中国国際アニメフェスティバルを通じて、現在の中国アニメ産業事情と今後の展望についてレポートしたい。このアニメフェスティバルの中に、良くも悪くも現在の中国アニメ産業の縮図が凝縮されているからだ。