また、同シリーズは3DCGソフトウェアで一般的な汎用形式であるFBX形式データとして提供されている点も特徴となっている。FBX形式とは、元々はCADの空間フォーマットで、建築業界でもよく使われている。そのFBX形式をダイレクトな形で提供できていること、また非常に容量の圧縮ができていることなどがポイントなのだ。

無償公開されているデータとしては1パーセルと呼ばれる範囲で、若干ながら山手線と京浜東北線の路線部分が御徒町駅側(北側)に長く突き出ているが、原寸なら625m×625mの400平方kmほどのエリアである(画像28)。

さすがに秋葉原全域というわけではないが、秋葉原駅(画像29)を中心にしてメインストリートの中央通り(画像23)、山手線や京浜東北線を挟んで駅の反対側の首都高速4号線と昭和通り(画像30)、両通りが渡っている神田川(画像31)などが収録されており、知っている人なら誰でもすぐ秋葉原の街並みがリアルに再現されているのがわかるというわけだ。

なお、建物の看板などはアセットストアのルール上、そっくりそのままというわけにはいかないので、キャラクターなどは描かれていないし、店名なども仮のものとなっている。

画像28(左):ほぼ1パーセル分が収録されている。秋葉原を完全再現しようとしたら、あと北側や西側にあと2~3パーセルはほしいところ。画像29(右):秋葉原駅の5・6番線である総武線ホーム。御茶ノ水駅寄りの先端側

画像30(左):昭和通り側。中央の道路は首都高速1号線(その下に昭和通りがある)。左手側の建物は現実世界では書泉ブックタワーのビル(アセットストアの関係上、そのまま表現できない)。画像31(右):神田川にかかる万世橋。真下の線路はJR中央線。左奥が秋葉原駅で、左手前側を行くと御茶ノ水駅、右手奥へ行くと神田駅

そして都市ごとに異なるのだが、雨、風、晴天、夜空、曇り空、ライトなどの複数のエフェクトも用意されている(画像32・33)。さらに、サンプルゲームプログラムも搭載。そのほか、さまざまなデータが用意されているので、それを利用してゲーム制作ができるというわけだ。

画像32(左):ライトを設定する前の秋葉原のヨドバシカメラ。太陽が東側にあり、こちらは陰になっているのでかなり暗い。画像33(右):同じアングルでライトの1種を設定したところ。ヨドバシカメラは明るくなったが、ロータリーなどがまぶしくて飛んでしまっている

ちなみに、シティアセットシリーズを使った無料のサンプルゲームも公開されており、ポケット・クエリーズが開発した「VR鬼ごっこ IN 3D CITY」は、PCやiOS、Android OSで遊ぶことが可能だ(画像34・35)。なんばの街中を空中で鬼ごっこをするという簡単なアクションゲームだ(自動的に飛行してくれるので、どの位置で飛行するのかカーソルキーで操作するだけ)。ちなみに「VR鬼ごっこ IN 3D CITY」は、セキュリティ設定がデフォルトで高いブラウザだとそのままでは動作しないこともあるが、IE11なら特に設定を変更しなくても動作していた。

画像34(左):・画像35(右):「VR鬼ごっこ IN 3D CITY」は、プレイヤーキャラのクエリちゃんを操って、前方を逃げるブラック・クエリちゃんを捕まえるゲーム。舞台はなんばだ。青色の速度アップアイテムをゲットすると距離が縮んでいき捕まえられる。捕まえたら今度はクエリちゃんが逃げる(画面手前側にクエリちゃんが顔見せる形で逃げる)ゲームとなる。赤いアイテムは減速して距離が開き、丸い障害物は当たると終了。コインは得点となる。左右のカーソルで右回りか左回りに旋回して飛行位置を定めるだけのシンプルな操作で、前進やコーナーでのターンなどは自動