さて、続いてはジオ技術研究所が制作したWalk eye Mapを活用した、ゼンリンの最新の取り組みである、ゲーム向けの新コンテンツの紹介だ。かなり話題となったのですでにご存じの方もいると思うが、2014年8月に第1弾の無償公開がスタートした、ゲームエンジン「Unity」用の都市モデルデータ「ZENRIN シティアセット」シリーズである(画像22)。
第1弾として秋葉原駅近辺を扱った「Japanese Otaku City」(画像23)が、そして2015年4月に第2弾として大阪市なんば付近を扱った「Japanese Naniwa City」(画像24)が、さらに同年5月8日には福岡市天神付近の「Japanese Matsuri City」(画像25)が、5月22日には札幌市時計台付近の「Japanese Dosanko City」(画像26)が公開された。
画像22(左):シティアセットシリーズのサイト。画像23(中):Japanese Otaku Cityの街中の風景。万世橋に近い位置から、中央通り上に立って上野方向を見たイメージ。画像24(右):Japanese Naniwa Cityのの街中の風景 |
というわけで、主にゲーム開発用のデータであることはわかってもらえるかと思う。しかし、そもそもUnityって何? という方もいるかも知れない。簡単に説明すると、Unityとは米ユニティ・テクノロジーズ社が開発している、統合開発環境を備えたゲームクリエイター/ゲームメーカー向けの3Dゲームエンジンのことで(画像27)、複数のプラットフォームに対応しているのが大きな特徴だ。
「複数のプラットフォームに対応している」とは、1つのプログラムを作るだけで、Windows、MacOS、LinuxなどのPC用OS、PSシリーズやXboxシリーズなどのゲーム機、PSPシリーズやニンテンドーDSシリーズなどの携帯ゲーム機、さらにはAndroid OSやiOSなどのスマートフォン/タブレット用など21種類のプラットフォーム用実行ファイルを作れるのである(一般的なゲーム開発では、ベース部分は利用できるにしても、プラットフォームごとにプログラムを開発する必要があるので、複数のマルチプラットフォーム展開をするには大手メーカーじゃないと難しい)。
ただし、さすがにPC用や据え置き型ゲーム機用などのハイスペック環境と、携帯ゲーム機やスマートフォン用などのロースペック環境で同一のゲームとするのはなかなか難しいので(どうしても画面サイズの問題などで見せ方に差が出てしまう)、同一作品で全21種類のプラットフォームに対応させている作品はまずない。
ただし、WindowsとMacintoshの2種類に対応しているとか、ソニーとマイクロソフトの据え置き型家庭用ゲーム機の両方に対応しているといった、2プラットフォームへの対応は普通だし、中にはPC用と据え置き型家庭用ゲーム機の多数とか、ソニーのPS3やPS4と携帯用ゲーム機のPSPやPSP Vitaに対応している、といった作品もある。
ともかく1つのプログラムを作ったら、基本的にはそれぞれのハードに合わせてプログラマー自らが変更する必要がなく(その部分はすべてUnityが調整してくれる)、マルチプラットフォーム展開をしやすく、それだけ売り上げに結びつけやすくなるというわけだ。
そんなUnity上でゲーム開発をする際のマップデータとしてゼンリンが無償提供しているのが、先程紹介したJapanese Otaku CityなどのZENRIN シティアセットシリーズなのである。同シリーズは、Unity公式のゲーム開発用素材を購入できるオンラインストア「アセットストア」で入手可能だ(無料)。