──最後に、Form Factorについて質問させて下さい。2年前、IntelはECX Form Factorをリリースしました。今年のComputexではこれに準拠した製品が様々なベンダから出てきましたが、ECXのみを出展したベンダは皆無で、すべてのベンダがCOM/ExpressやATX/Flex ATXなどの様々な製品を提供しており、ECXは「そのうちの1つ」でしかありません。Intelはかつて、非常に強力にECXをPushしていたと思うのですが、この現状をどう思われますか?

Steenman:Embedded Marketは非常に幅広く、要望も多岐に渡り、特殊な要求も多い。すべてのマーケットをカバーするForm Factorは存在しないと言えるし、様々なEmbedded MarketのSegmentのClusterごとに独自のForm FactorがVendorから提供されている状況だ。私自身としては、今後もこのMarketはScalableだと考えている。

いや、もちろん我々は標準化できる部分はしたいと思っている。それは数量が出るマーケットでは、これにより経済的に有利だし、引き続き標準化を進めてゆきたいとは思っている。ただ現時点ではマーケットにFitしたForm Factorというものは無い。

──例えば通信の分野では、ATCAはうまく標準化に成功したForm Factorだと思うのですが、ECXはなぜうまく行かなかったんでしょう?

Steenman:例えばTraffic ControllerやTrain Controller、IVI、In-Dashboard Platform、これらはいずれも独自のFormFactorを必要とする。我々は引き続きForm Factorの標準化を進めてゆきたいとは思っている。

──これに関連しますが、2006年とか2007年の時点では、Intelは17cm×17cmのボードを"Standard ATX"と呼んでおり、絶対に"Mini-ITX"とは言っていませんでした。ところが今年に入って"Mini-ITX"という名称を使い始めています。これはIntelがMini-ITXという規格を認めたのだと理解して良いのでしょうか?

Steenman:いや、そういうわけではないと思う。Embedded Marketでは、我々の製品を使うボードベンダ、つまりChaintechやKontron、Portwellなどだが、彼らは様々な標準に則った製品をリリースしている。なので、Marketがそうした製品を欲していれば、そうした製品が入手できるというだけの話だ。

──Embedded Marketには本当にStandard Form Factorは必要だと思われますか?

Steenman:ある種のMarketには大変有用だろう。もちろん、幅広い範囲をカバーする標準的なForm Factorはありえないと思う。あまりに多様多種なApplicationがあるからだ。そしてApplicationの要求はそれぞれ独自のものとなる。

例えばあるApplicationは、非常に大量のI/Oを必要とし、物理的にも多数のレーンを必要とする。別のApplicationは1ポートで十分だが、ただし超小型かつ薄型が求められる。別のものは小型だが、背は高くてよい。こうした全ての要求に応じられるようなPlatformは存在し得ない。

──では今後はIntelは新しいForm FactorをEmbedded向けに提示したりはしない?

Steenman:我々は引き続きIndustryと対話を行い、そして可能ならば標準化を進めたいと思っている。なぜなら標準化にはメリットがあるからだ。スケールメリットが期待できるし、開発コストなどの削減なども考えられる。だから、こうした作業を中止するつもりは無い。

──しかしすでに数百のForm Factorがある訳で、ここにさらに追加する訳ですか?

Steenman:直接的な答えにはならないが、それはApplicationにも依存する。例えばAtom Processorは従来存在しなかった低消費電力の製品で、これにより非常に小さなForm Factorが可能になった。

今までは、このサイズのFootprintと消費電力のForm Factorは存在しえなかった。こうした新しいDemandでは、新しいForm Factorが必要になる。確かに、全てのForm Factorが必要とは言えない。幾つかのForm Factorは、Marketの効率化のために統合すべきだという意見には同意する。