──まずIPDという組織について説明していただけますか? IPDという組織は、我々の読者にはそれほど知られていない部門です。Divisionの目的や製品、注力している分野などについて簡単にまとめていただけると助かります。

Steenman:IntelにおいてEmbedded Marketは大変重要であり、Intelが設立された当初から40年近くの間、常にEmbedded Marketと係わり合いを持ってきた。確かにここしばらくで言えば、PC Marketに比べてやや後ろに隠れている事は否めない。ただこれからEmbedded Market(向けの商品)が急激に伸びてゆくことは間違いない。現時点でIntelはPCとサーバマーケットから大きな売り上げを得ているが、今後は4つの急激に伸びるマーケットがあると考えている。

1つはMID(Mobile Internet Device)で、2つ目がLow Cost PC、3つ目がConsumer Electronics、4つ目がEmbeddedである。この4つのマーケットはいずれも100億ドルの規模になる可能性があると考えている。このマーケットを逃す事は出来ない。

2つ目だが、過去10年の間に、IA(Intel Architecture)はEmbedded Marketにとってより重要になってきた。主な理由は、Embedded Marketがより革新的になってゆき、より多くのデバイスがInternetに繋がるようになり、"Connected Embedded Device"に進化したことで、よりConsumerに近い存在になった。

一例を挙げてみよう。(インタビューが行われた)このフロアにはネットワークに繋がった複合型プリンタがある。これを使って画像をスキャンし、それをあなたのE-mailアカウントに送ったり、IPアドレスを指定して直接そこにE-mailで送ったりもできる。5年前にはこんなことは不可能だった。あるいは現在、我々は非常に広い範囲の業界と協調して、自動車向けのMediaやServiceを提供しようとしている。

これらはいずれも一例でしかない。Embedded Deviceはどんどん"Coneected"になってゆき、よりユーザーに近いServiceを提供できるようになった。理由の1つは、Internetで提供される最新のServiceが利用できること、もう1つは多くのEmbedded Applicationにより進化したUIが求められるようになったことだ。

こうしたケースでのIAのメリットは計り知れない。例えばConnectivity。IAのConnectivityはすでにご存知の通りだ。それにRich User Experienceを実現するプラットフォームはまずIAベースで提供される。この2つは、かつてはPCでは重要だったがEmbeddedではそれほど重要ではなかった。なぜなら、ほとんどのEmbedded Deviceは"Static Device"だったからだ。Connectedではなく、特定のアプリケーションのみを実行するものだった。

しかし次世代のEmbedded DeviceはConnectedであり、それぞれがお互いに通信しあう。例えば2台の車がハイウェイの上で通信しあうことで渋滞状況を知らせあったり、といった事だ。こうした動きがEmbedded Deviceを大幅に変えつつある。Embedded Deviceは"Dynamic Device"となり、常に最新のInternet Serviceを実施できる能力を持ち、ScalableでConnectivityで、Rich User Experienceを提供できるものでなければならない。こうした理由により、IAは今後Embedded Marketで大きな役割を果たすと信じている。

Battery Organizationに関してだが、私はEmbedded Communication Groupの一員であり、我々の目的はこの種類のプラットフォームの可能性をEmbedded Marketに持ち込むことだ。

Atomアーキテクチャが登場したことで、これに関する状況が劇的に変わった。今まではEmbedded Marketのハイエンドマーケット、例えばGiga-bit Routerなどの大型な装置向けの製品に絞られていた。しかし今は、携帯電話の様なサイズまでスケールダウンさせることが可能になっている。

こうしたマーケットには非常に小型の、低消費電力なプラットフォームが必要であり、AtomはFootprintと消費電力の両面で、ローエンドとなる超小型・低消費電力マーケットに参入できる能力を持っている。例えば小型のIP Video Phoneとか、次世代の車載向けInfotainmet Platform、あるいはFA(Factory Automation)分野における超小型のProgrammable Logic Device(PLD)などだ。

あるいはEnterprise向けの印刷装置、例えばMFP(Multi-Funtion Printer)のローエンド向けなど、(これまで参入できなかった)沢山の新しいマーケットがAtomアーキテクチャのおかげで参入可能になっている。我々は非常に小さなフォームファクタのPlatformから、Very Rich Computingを可能にするMulti-Core Platform、例えば10Gbit Routerのようなものまで提供可能となっている。