与えた電力の半分以上が漏れ出してしまう
従来、プロセッサにおける低消費電力化への対応は、動作時だけを見ていればよかった。動的な消費電力(ダイナミックパワー)は、半導体製造プロセスの微細化によって低減してきている。その一方で、電源は供給されているが動作していないとき、すなわち静的な消費電力(スタティックパワー)が無視できないほどになってきた。
これは、漏れ電流(リーク電流)が増えてしまうからだ。ひと言でリーク電流といっても、ゲートリーク電流、接合リーク電流、サブスレッショルドリーク電流などいくつかの種類があり、その影響が顕在化するプロセスルールも異なっている。
たとえばゲートリーク電流は、ゲートの絶縁膜を通り抜けてゲートとチャネル間に流れてしまう電流のことである。これは微細化によって絶縁膜が薄くなることで、量子力学でいうトンネル効果によって電流が漏れてしまう現象である。微細化が進むほど集積度が高まり、場合によっては与えた電力の半分以上がリーク電流として漏れ出てしまうこともある。
これだけの電力がリーク電流で消費されてしまうとなると、プロセッサの低消費電力化を図るためには、ダイナミックパワーとスタティックパワーの両面からアプローチする必要があることが分かるだろう。