ニコンからミドルクラスのデジタル一眼レフカメラ「D90」が発売された。このD90についてレポートしよう。D90はボディ単体のほか、D90とほぼ同時に開発された「AF-S DX NIKKOR 18-105mm F3.5-5.6G ED VR」を始めとしたレンズキットも発売されている。これらD90キットレンズの比較インプレッションを掲載しているので、参考にしてほしい。
期待のD80後継機
2006年9月に発売された「D80」の発売から2年の時を経て、後継機である「D90」が発売された。ニコンは2007年冬にフラッグシップ機、2008年春にエントリーモデルを市場に投入してきた。いよいよ夏にはD80の後継機が投入されるのではないだろうか? と思っていたのだが、7月に発表されたのは、D300クラスのボディにFXフォーマットを搭載した「D700」だった。筆者にとってD700の登場は予想外の大穴だったが、そうこうしているうちにD90が市場に投入されるというニュースが舞い込んできた。発表されたD90のスペックを見る限り、筆者の予想を良い意味で裏切ってくれる製品だった。以下、D80との比較を中心にレポートしたいと思う。
約92万ドット3型液晶モニターを搭載。ライブビューボタン、「Info」ボタンなどが追加されている |
D90と、同時開発のレンズ「AF-S DX NIKKOR 18-105mm F3.5-5.6G ED VR」 |
正統進化とサプライズ機能
搭載する撮像素子は、D300と同様の有効画素数1230万画素のDXフォーマット(23.6×15.8mm)CMOSセンサーを搭載し、ローパスフィルターを振動させてゴミを振るい落とす総合ダスト対策システム「ニコンインテグレーテッドダストリダクションシステム」も備える。ボディサイズは約132(W)×103(H)×77(D)mm、重量約620gとほぼD80とかわらない。乱暴にいってしまえばD300の中身をコンパクトなD80のボディに詰めこんだようなカメラだ。D300同様に、ライブビュー機能やアクティブD-ライティングを備えているが、電子水準器機能は備えていない。
画像処理エンジンはD90のために最適化されて、ノイズ低減をはじめ、各処理の高速化を行なった。ライブビューのオートフォーカスは位相差式がなく、コントラスト検出のみ。その代わりに顔認識も搭載した。それと、顔認識を含めた「シーン認識システム」などを可能にしている。これは420分割RGBセンサーを使って被写体の状況を把握し、シーンに応じてオートフォーカス、自動露出、オートホワイトバランスの制御に反映するのだという。
通常撮影でのフォーカスポイントは、中央クロスセンサーを含む11点。従来の「シングルポイントAF」、「ダイナミックAF」、「オートエリア」のほか、新たに構図変更に応じて自動的にフォーカスポイントを切り換え、被写体にピントを合わせ続ける「3D-トラッキング(11点)」が追加された。連続撮影は4.5コマ/秒で、D80の3コマ/秒より速くなった。連続撮影枚数は約100枚。視野率が上下左右とも約96%、倍率が約0.94倍のファインダーを採用。ファインダー内の格子線も表示も可能だ。
感度については、常用感度がISO 200~3200のほか、減感(Lo 1)でISO 100相当、増感(Hi 1)でISO 6200相当までの感度調整が可能になった。これはD80に比べるとかなり広く、D300と同じだ。露出補正範囲もD300同様に±5段まで拡大された。
カラー調整機構の「ピクチャーコントロールシステム」には、新たに「ポートレート」と「風景」が加わり、ダイヤル操作のシーン露出制御の「アドバンストシーンモード」では、ピクチャーコントロール、アクティブD-ライティングもシーンに応じて機能するようになった。