D80を踏襲した外観
D90を手に持った印象は、D80とあまり変わらない。ボディサイズはD80とほぼ同じ。重量も若干重さが585gから620gへと増加しているが、持ってみると違いはわからない。若干グリップが太くなっているので、手の小さい筆者にとってはファンクションボタンが遠く感じたが、一般的な男性はホールド性が増して持ちやすく感じるのではないだろうか? ボタンのレイアウトは、D80を踏襲しつつ、OKボタンがマルチセレクター中央に配置され、「Info」ボタン、ライブビューボタンが追加されている。
一番大きな変化は液晶モニターだろう。液晶モニターサイズが約23万ドット2.5型から約92万ドット3型になり、見やすさは雲泥の差だ。画質の良い液晶モニターは撮影していてとても気持ちがいい。同じ写真を再生しても、上手くなったように見えるから不思議だ。
操作スピードの向上
ニコンの場合、露出補正やISO感度、ホワイトバランス、オートフォーカス、記録サイズなどのよく使う設定変更は、機能を割り当てたボタンを押しながらコマンドダイヤルを回わすことが基本だ。それはD90でも変わっていない。それ以外の項目は、情報表示画面から操作できる。変更できる項目はD700の10項目から6項目に減り、「長時間ノイズ低減」、「高感度ノイズ低減」、「アクティブD-ライティング」、「ピクチャーコントロール」、「ファンクションボタンの機能」、「AE/AFロックボタンの機能」、「撮影設定変更画面ガイド画面」となっている。
D90は、押し回しと情報表示画面からの設定変更により、多くの場合はメニュー画面を開く必要がなかった。ただ、どうせなら「D60」のように、全ての項目を情報表示画面から変更できるようにしたほうがいいと思う。D90は液晶パネル風のデザインで、撮影情報が表示されているが、変更できるのはその下に並んだ項目だけで、すべて変更できるわけではないのだ。
ただ、情報画面を表示させるのに「Info」ボタンを押し、設定を変更するにはもう一度「Info」ボタンを押さないといけない。これがちょっと面倒だ。いつも表示してくれていたらワンタッチで設定に入れるのに、と思う。もしかすると誤操作を防ぐためかもしれないが、それならフォーカスロックポイントレバーで撮影設定もロックできるようにしてしまえばよいのではないだろうか。
通常のメニューには、各タブの項目が増えている。機能がかなり追加されているのがわかる。D80よりタブがひとつ増えていて、自分のよく使う設定が登録できる「マイメニュー」か「最近設定した項目」が割り当てられる。カスタムメニューは、「a:オートフォーカス」、「b:露出・測光」、「c:AE/AFロック・タイマー」と、項目がグループ分けでまとめられて、わかりやすく整理された。また、D80でもそうだったが、設定したあとに電源を落としても、最後に使ったメニューの場所を覚えていているところが使いやすい。
再生画面の操作も、大幅に改善がされた。まず、拡大画面のスクロールが格段に速くなったこと。これは少し前の機種から改善されているらしいが、やはり確認がすぐにできると次の撮影にすばやく移れるからとてもいい。画像の拡大は拡大ボタンを何度も押す方式。残念なことにD700で採用されていた中央ボタン(D90のOKボタン)で一気に拡大する切り替え機能は備えていない。D90は拡大中に人物の顔を認識すると、画面下のナビゲーションウインドウに白枠が表示され、その状態でサブコマンドダイヤルを回すとそのままの拡大率で認識した顔に移動する。これはライブビューのAF方式で「顔認識AF」で撮影した時はわかるが、ファインダーで撮影した状態(位相差式)でも顔を認識するようだ。これはファインダー撮影で人物撮影をしたときのピント確認には便利だろう。ただ主要被写体が人物でない場合は、白枠が邪魔に思えるかもしれない。この白枠表示は、メニュー画面でON/OFFの設定ができれば便利だろう。また認識した顔が拡大できるのなら、AFポイントでも拡大できるようにしてほしいと思う。
「Info」ボタンを2回押すと設定変更に切り替わり、さらに「OK」ボタンで各メニューにジャンプする |
通常のメニュー。左側でグループを選び、右に移って各項目を選択する |
カスタムメニューは、上位機同様に項目がグループ分けされた |