ライブビュー専用ボタンで切り換えが便利
D90には、新たに「ライブビュー専用ボタン」が追加された。以前の機種では、ライブビューを使おうとしても、レリーズモードダイヤルを「LV」に合わせ、さらにシャッターボタンでライブビューに切り換えたり、カスタムメニューでファンクションボタンで機能を割り当てたりしなくてはいけなかった。D90は素早くライブビューに切り替わる。AF設定も以前の機種は位相差式AF(手持ち撮影)とコントラスト検出AF(三脚撮影)から選択したが、D90のライブビュー撮影ではコントラスト検出AFのみになった。ライブビューにはコントラスト検出のみでいいというニコンの判断だろう。また、ライブビューでのピント合わせもAF-ONボタンしか使えないということもなく、普通にシャッターボタン半押しだけでピントが合う。とても使いやすい。
またライブビュー撮影時には、顔認識AFが使用できる。顔認識AFは、ある程度カメラ操作がわかっている人にとっては必要ない機能かもしれないが、コンパクトカメラからのステップアップユーザーや一眼レフを触ったことない人にシャッターをお願いするときには便利な機能だ。ただ顔を認識してすぐにシャッターボタンを押しても、シャッターが切れるまでにかなり時間がかかり、ストレスを感じてしまう。子供の一瞬の笑顔を撮りたいと思ってもシャッターチャンスを捉えるのはまず無理。現在のライブビューは、マクロや風景撮影、スタジオ撮影など、三脚を使った撮影用かもしれない。
またライブビュー機能は、撮影中に再生モードにならず、再生ボタンを押すと「モニターの明るさ」の設定になってしまう。画像を確認するには、一度ライブビューボタンを押して、ライブビュー撮影を終了しなくてはならない。これがとても面倒だ。これは動画撮影の確認でも同じ。撮影した画像は素早く確認できなくては、操作が快適だとはいえない。
ライブビュー機能は可能性がある新しい技術なので、これからもっと発展すると思う。使いやすくなっても、AFの早さはコンパクトカメラにまだ劣っている部分がある。きれいな液晶でファインダー撮影と同じくらい快適なAF撮影ができたらさらに良いのだが。コントラスト検出AFが速くなることを期待したい。
顔認識AFでは、顔を認識すると黄色の2重枠が現れ、ピントが合えば緑色になる |
ライブビュー「ワイドエリアAF」。フォーカスポイントは画面全体に動かすことができる |
ライブビュー「ノーマルエリアAF」。ピンポイントでピントを合わせるときに便利 |
ライブビューでの拡大表示。マクロ撮影など、厳密にピントを合わせたいときに便利 |
格子線表示のときは撮影情報が簡略化される |
ライブビュー時に再生ボタンを押すと、液晶の明るさ調整になってしまう。再生するには、一度ライブビューを終了させなくてはならない |
デジタル一眼レフカメラの可能性を広げた動画機能
ライブビュー撮影は、まだまだ使い勝手がイマイチだが、ライブビュー機能を利用したHD動画撮影機能「Dムービー」を搭載したところがD90の評価できる所だ。Dムービーは、ライブビューモードにして、OKボタンを押すと動画撮影が始まるもの。動画の設定は、Motion JPEG、AVI形式でのHD記録に対応し、いずれもフレームレートは24fps。記録サイズによって撮影時間が変わり、1280×720(16:9)に設定していると約5分間、640×424(3:2)、320×216(3:2)に最大20分連続撮影ができる。長時間撮影すると、カメラ内部回路の温度が上昇し自動的に撮影が終了してしまう。最大連続撮影まで撮影すると、手で持っていてもカメラ本体が熱くなるのがわかり、その後すぐに撮影すると最大連続撮影時間が短くなっていた。また、高速で動く被写体を撮影したり、ズームやパンをすると画像が歪んだり、偽色やモアレが発生した。フォーカスもマニュアル操作しかできない。などなど動画機能は、まだ改良の余地があると思うが、まずは動画機能を搭載したことを評価するべきだと思う。EOS 5D Mark2にも動画機能が搭載されるが、今後はライブビュー機能のように当たり前になると思う。
動画について詳しくないが、一眼レフにはたくさんの交換レンズがある。超広角や魚眼レンズなどレンズ交換で表現ができる可能性が広がり、工夫次第で面白い作品が作れそうだ。