◆消費電力測定(グラフ102~110)

最後は恒例の消費電力測定である。今回はSandraのDhrystone/Whetstone(グラフ102)、CineBench R23のAll Threads(グラフ103)とOne Thread(グラフ104)、TMPGEnc Video Mastering Works(グラフ105)に加え、実験的にPCMark 10のApplication Test(グラフ106)も加えてみた。あとは3DMarkのSpeedWay(グラフ107)とMetro Exodusの2K(グラフ108)である。それぞれのテストの稼働中の平均消費電力をグラフ109に、待機時の消費電力との差をグラフ110に示した。

  • グラフ102

  • グラフ103

  • グラフ104

  • グラフ105

  • グラフ106

  • グラフ107

  • グラフ108

  • グラフ109

  • グラフ110

端的に言えば、Core i5-13600K/Core i9-13900K→Core i5-14600K/Core i9-14900Kで5W~20Wの消費電力の上乗せが行われた感じだ。そもそも絶対的な消費電力が多いのでマージンの少ないCore i9-13600K/14900Kの場合は微増程度であるが、マージンが相対的に多いCore i5-13600K/Core i5-14600Kの場合は20Wほど増えている。ただその増えた消費電力に見合うだけの性能向上があるか? というと微妙なところである。またPCMark 10 Applicationでも、絶対的な消費電力ではAMD系の方が高めであるが、これは消費電力の多いX670マザーボードがZ690マザーボードより20W位余分に消費しているから、という話でもあって、グラフ110を見ると稼働中の平均消費電力は10W以上低めに抑えられている。またこのPCMark 10 Application稼働時のピークの消費電力は

Core i5-13600K 251.1W
Core i5-14600K 271.8W
Core i9-13900K 302.9W
Core i9-14900K 289.0W
Ryzen 5 7600X 205.3W
Ryzen 7 7800X3D 169.9W
Ryzen 9 7950X 236.5W
Ryzen 9 7950X3D 202.3W

となっており、平均消費電力だけでなくピークの消費電力もIntel系は高めになっている。ピーク性能は別としても、少なくとも性能/消費電力比に関して言えば、IntelはAMDに水を開けられる方向に進んでいたと見て間違いではないだろう。

考察

ということで大分遅くなったがRaptor Lake RefreshことCore Processor(14th)の比較をお届けした。この原稿の執筆時点(11月8日)のアマゾンジャパン価格で言えば

・Core i5-13600K (https://www.amazon.co.jp/dp/B0BCF5CZ16/) \49,980
・Core i5-14600K (https://www.amazon.co.jp/dp/B0CKKRTRRG/) \59,773
・Core i9-13900K (https://www.amazon.co.jp/dp/B0BCF54SR1/) \95,380
・Core i9-14900K (https://www.amazon.co.jp/dp/B0CKKPXV1C/) \103,581

となっており、概ねRaptor Lake世代と比較して1万円Upといったところ。この金額に見合う性能向上が得られるのか? というのが各人で判断の分かれるところだが、仮に筆者なら、買い替えであればGen 13 Core Processor世代のままでいいかな? と思う。ちなみに競合製品だが同じく

・Ryzen 5 7600X (https://www.amazon.co.jp/dp/B0BGX57VQD/) \35,980
・Ryzen 7 7800X3D (https://www.amazon.co.jp/dp/B0C2D943TC/) \61,010
・Ryzen 9 7950X (https://www.amazon.co.jp/dp/B0BF5BBBXS/) \99,798
・Ryzen 9 7950X3D (https://www.amazon.co.jp/dp/B0BXJ44R21/) \120,964

といったところ。ただRyzen 9 7950X/7950X3Dは並行輸入品もあり、気にならないのであればそれぞれ\85,980/\109,998となっている。Ryzen 5 7600Xは確かに安いがその分性能も低いのは今回見てきた通りで、コストパフォーマンス的には悪くないが、ピーク性能を求めるユーザーには不満が大きいだろう。そうしたユーザーにはCore i5-13600K/14600Kの方がお勧めできる。

Ryzen 9 7950Xは性能的にはCore i9-13900Kと同等かちょい落ちる程度で、その割にちょっと価格が高め(並行輸入品なら同等のコストパフォーマンス)といったところ。様々な用途に使う(ゲームだけでなく、例えば動画配信とか写真のレタッチとかも結構行う)というユーザーであれば、どちらかというとCore i9-13900K/14900Kの方が満足度は高いと思う。そしてゲームが主体であれば、現状ではRyzen 7 7800X3DないしRyzen 9 7950X3Dが一番満足できるだろう。

いまはまだ新製品ということでプレミアがついている部分があるが、もう少しすればCore i5-13600K/Core i9-13900Kの流通量が減ってその分価格が上がり、代わってCore i5-14600K/Core i9-14900Kの価格が下がることが期待できる。もしCore Processor(14th)を狙っているのであればそこまで待つ方が良いと思うし、今すぐ欲しい人は予算次第でGen 13 Core Processorも視野に入れることをお勧めしたい。