◆消費電力(グラフ47~51)
最後は消費電力である。まずは3DMark FireStrikeのDemo(グラフ47)、Far Cry 5の2K(グラフ48)、Final Fantasy XV Windows Benchmarkの2K(グラフ49)の消費電力変動を示してみた。
とにかく目立つのは
- RX 5700は一番消費電力が低い。RTX 2060を下回るほどである
- RX 5700 XTはRTX 2070 Superを超えるほどの消費電力である
- RTX 2060 SuperとRTX 2070は概ね同等の消費電力
これの平均値を取ったのがグラフ50、各々の平均値と待機時の消費電力の差をまとめたのがグラフ51である、先の傾向はここでも言えるが、厳密に言えば
- 消費電力が最小なのはRX 5700でRTX 2060をわずかではあるが下回る。
- RTX 2060 Superの消費電力はは若干RTX 2070を下回る
- RX 5700 XTはRTX 2070 Superの消費電力を上回っている
というあたりだろうか。何というか、非常に納得いく結果になった。
◆考察 - RX 5700とRTX Super、甲乙つけがたいが…
ということで新GPUを搭載したビデオカード6製品のレビューをお届けした。まずはNVIDIA系についてまとめると
- RTX 2060 SuperはほぼRTX 2070相当の性能を実現しており、RTX 2060との性能差が明確にある
- RTX 2070 Superは間違いなくRTX 2070を大幅に超える性能になっており、恐らくRTX 2080に近い性能と考えられる
といったところ。RTX 2060 Super/2070 Superはお値段が従来のRTX 2060/2070のままの据え置きだから、猛烈にお買い得感が高くなった。今回の発表に伴い、RTX 2070/2080を発売終了にするのも無理ないところである。
さてこれに対抗するRX 5700シリーズであるが
- RX 5700はRTX 2060並の消費電力でRTX 2060 Superにかなり近い性能を叩き出しており、しかもお値段はRTX 2060と同じ$349である。これはRTX 2060 Superに対して非常に競争力のあるポジションにあるだろう(というか、価格改定しなくても十分競争力があると思うのだが、価格改定で恐ろしく魅力の高い製品になった)。
- RX 5700 XTは、RTX 2060 Superと同じ$399という価格でありながら、時としてRTX 2070 Superに近い(少なくともRTX 2060 Superは超えていると判断して良いだろう)性能を叩き出す。問題は消費電力が高い事で、RTX 2070 Super並の消費電力を許容できるなら、良い買い物とは言えるだろう。
というあたりか。
そんなわけで「基本的には」RX 5700シリーズの競争力は非常に高いのだが、その競争力を削いでいるのがドライバの完成度の低さである。冒頭に書いたカスタム解像度の設定が出来ない件や、相変わらずFinal Fantasy XVでの性能が低いこと、及びMetro ExodusとMiddle-earth:Shadow of Warでシャットダウンする件(多分シャットダウンが一番致命的)は、製品の競争力を確実に削いでいる。
そんな訳で現時点では「ドライバの完成度が高まるまで若干待てる」方にのみ、Radeon RX 5700シリーズをお勧めできるという事になる。とりあえずTerry Makedon氏が頑張って品質を上げてくれれば、Ryzenとあわせて非常に競争力のある製品に仕上がる、として良いかと思う。