今度は、周波数を固定してそれぞれ消費電力を測定してみることにした。対象はRyzen 7 1800XとRyzen 7 2700Xのみである。
最初はRyzen Masterを使って動作周波数を動的に調整しようとしたのだが、Ryzen Masterは動作周波数を上げるほうには役立つが、下げる方には役立たない(3.2GHz未満に設定できない)ことが判明したので、BIOS Setupから動作周波数(というか、倍率)を設定した。
この状況で、AIDA64のStability Testを利用し、CPUとFPU、Cacheにのみストレスを掛けて100秒間維持した状況での消費電力を測定している。
グラフ83がRyzen 7 1800X、グラフ84がRyzen 7 2700Xの測定結果である(縦軸を0Wから始めるとグラフが重なってしまって判別できないので、140Wからのスタートとした)。よく見ると凹凸があるものの、ほぼ周波数に合わせて次第に消費電力が増加するのが分かる。
この100秒間における実効消費電力の平均値を取って、プロットしたのがグラフ85である。同じ動作周波数だと、Ryzen 7 2700XはRyzen 7 1800Xと比べて10W程度諸費電力が低い。
ちなみに3.3GHz駆動における消費電力差が少ない(というか、Ryzen 7 1800Xが3.3GHzまでしか測定していない)のは、この3.3GHzでThermak Throttlingが発生したからだ(Photo40)。
今回はWraith Prismを利用した空冷環境だったので、この75度(Photo41)あたりを越えると勝手にコアの動作周波数が下がってしまい、結果的に消費電力が下がったという話で、仮にThermal Throttlingが動いていなければ190W近くまで消費電力が上がった可能性がある。
Ryzen 7 2700Xは? というと、ご覧の通り3.8GHzでもThermal Throttlingが発生していない(Photo42)。この時点でのプロセッサ温度は86度に達しており(Photo43)、Thermal Throttlingの設定そのものが、Ryzen 7 1800Xより高温動作を前提とするように改められたようだ。
確かにAMDの主張する通り、Ryzen 2では同じ動作周波数だと消費電力は確実に下がっている(から、仮にRyzen 7 1800Xと同じ動作周波数で運用したら、表2の効率はさらに改善すると思われる)が、製品の性格をより高動作周波数(=高消費電力)に振った結果として、やや効率が悪化することになった、ということになるだろう。