Apple Pay Cashへの銀行口座からの入金には手数料がかからないが、銀行口座への出金にも手数料は不要だ。ただし出金の設定は、カード発行ほど手軽ではない。
銀行口座の口座番号と、送金に用いるルーティング番号の組み合わせをApple Pay Cashの設定画面に入力する必要がある。筆者が利用しているBank of Americaでは、パソコンやモバイル、アプリからこれらの番号を確認することができ、デビットカードや他の書類を探す必要はないが。
Apple Pay Cashで受け取った金額は、前述の通り、手数料なしで自分の銀行口座に移すことができる。こちらの金額も定められており、最低出金金額は1ドル、1ドル未満の場合はその金額の全額、1度の出金の上限金額は3,000ドル、7日以内の出金金額の上限は2万ドルとなっている。
ただApple Pay Cashの利用が進めば進むほど、銀行口座への送金は利用しないかもしれない。Apple Pay Cashに入った金額は、Apple Payが利用できる店舗での支払いにそのまま利用することができるからだ。
例えば、飲み会の割り勘で20ドルをApple Pay Cashで受け取って、その帰りにスーパーで牛乳とタマゴの合計8ドルを買う際、Apple Pay Cashを支払いカードに選んでApple Payで決済すれば、Apple Pay Cashから8ドル差し引かれて、残高が12ドルとなる。
クレジットカードを使うインセンティブは、先払いできること、分割払いができること、ポイントやマイルがつくことなどが挙げられるが、割り勘でクレジットカードを使った際、その分の金額のポイントは確保していることから、割り勘分をApple Pay Cashで支払ってポイントがつかなくても、ポイント分を損するわけではない。
こうして、Apple Pay Cashは、iPhoneユーザーにとっての「バーチャルな財布」として活用されていくことが予想できる。