Apple Pay Cashカードを作成する際に最も驚いたのは、そのスピードだ。iPhoneの設定メニューからセットアップを開始して、1分で発行が終わるのである。
発行に必要となる情報は、氏名、住所、生年月日に加えて、社会保障番号の下4桁の数字。日本のマイナンバーを覚えている人は非常に少ないため、カードを持ち合わせていないと面倒、と思われるかもしれない。しかしアメリカ人は社会保障番号を暗記している人がほとんどで、これがハードルになることはないのだ。
例えばこれは、夕食の割り勘の場面で友人に「Apple Pay Cashで送金しても良い?」と言われて、セットアップしていなくても、1分以内に設定が終わって受け取れることを意味する。他のサービスと比較すると驚くべきスピードなのだ。
他の個人間送金を設定するには、まずアプリをダウンロードしなければならない。そして銀行のデビットカードの番号を読み込ませてるパターンがほとんどだ。アプリとカードという2つの準備をする必要があり、どんなにネット環境が良いレストランであっても、1分で済ませることは不可能だ。
既にアメリカ市場では複数の個人間送金アプリが普及しており、普段自分が使っているアプリ以外の手段での送金を申し出られた場合、アプリのダウンロードからやり直さなければならない。例えば普段Venmoを使っている人がSquare Cashで送金したいと言われると、アプリのダウンロードとアカウント設定の手順が待ち受けている。
そうした市場の中で、セットアップを非常に素早く済ませられる仕組みは、後発のサービスとしては非常に重要な要素であり、Apple Pay Cashはきちんと実現できた、と評価することができよう。